特別研究


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■  現在の総合型地域スポーツクラブの状況



 
富山県は日本で最も総合型地域スポーツクラブの設立が進んでいる県の一つに挙げられる。県内ではモデル事業もあわせると11の総合型地域スポーツクラブがある。中でも会員数が1,000人以上の規模のクラブが、福野町の「ふくのスポーツクラブ」と富山市の「パレスス
ポーツクラブ」の2つである。本研究では「ふくのスポーツクラブ」の寺井克明事務局長と富山
県広域スポーツセンターの南木恵一氏の二人にインタビューをし、2つの総合型地域スポーツクラブの特徴をまとめた。表1、2はこの2つのクラブの会員数と年齢別構成及びその割合で
ある。

 

未就

学児

小学

中学

高校

19~

29歳

30~

39歳

40~

49歳

50~

59歳

60~

69歳

70歳

合計

(人)

108

319

134

116

157

165

196

140

94

71

1480

(人)

53

288

154

120

141

228

267

220

222

62

1720

(人)

161

607

288

236

298

393

463

360

316

133

3255

5.0

18.6

8.8

7.4

8.1

12.2

14.4

11.2

10.1

4.2

100.0

 1 ふくのスポーツクラブ(福野町)の会員の年齢別構成とその割合

 

未就

学児

小学

中学

高校

19~

29歳

30~

39歳

40~

49歳

50~

59歳

60~

69歳

70歳

合計

(人)

49

185

43

3

48

31

44

31

15

3

452

(人)

19

162

34

1

81

143

125

74

12

1

652

(人)

68

347

77

4

129

174

169

105

27

4

1104

6.2

31.4

6.9

0.4

11.7

15.8

15.3

9.5

2.4

0.4

100.0

 表2 パレススポーツクラブ(富山市)の会員の年齢別構成とその割合

 

図2 ふくのスポーツクラブとパレススポーツクラブの年齢構成比較

(1)ふくのスポーツクラブ
 
福野町は富山県の南西部に位置し、人口15,000人の町である。昭和52年に地域スポ
ーツクラブ育成指定市町村設置事業を契機に「健康都市」を宣言した。平成8年には「総合型地域スポーツクラブ育成モデル事業」により、「ふくのスポーツクラブ」を発足させた。そして、
平成14年に特定非営利活動法人(NPO)に認証され、活動を開始した。この点が大きな特
徴の一つである。NPOとなることで、その組織が一つの会社として社会的に認知されることに
なる。そうすると、様々な交渉相手と対等に話ができるというメリットがある(法人登録をしないと、ボランティア団体と同じように見られてしまい、交渉がなかなかまとまらなかった)。実際、「ふくのスポーツクラブ」は福野町体育館の業務委託を町役場から受けている。これはNPO
法人になって、初めて可能のなったことである。現在は、社員2人とパート、ボランティアの
方々の協力で運営されている。しかし、NPO法人になるということは会社と同じ責任を負うと
いうことと同じなので、安全管理や会計などをより注意していかなくてはいけない。

また、表1でも明らかなように、住民のおよそ30%以上もの人がこのスポーツクラブに
入って活動している。NPO法人として一つのスポーツクラブを運営していくためには、最低
でも住民の10%の加入者が必要であるというので、その数を大幅に上回っている。これは、
スポーツクラブが
地域住民に幅広く認知されているといえるだろう。

内容は、楽しいスポーツ、競技志向のスポーツ、健康つくり、仲間つくりと細かくコースが
分かれており、現在77の教室が開かれている。その中に、主に中学生が活動している「ジュ
ニアスクール」というカテゴリーがある。これは、学校の部活動と重複しない時間帯で、生徒が好きなスポーツを選んで活動しているものである。ここでは、スポーツ少年団の指導者
や中学校の先生がそのままスポーツクラブで指導者として参加している。これによって、スポーツの
指導で大切だとされてきた小学生、中学生といったジュニア世代にかけての一貫指導が可能になっている。また、学校の部活動で運動系の部に入っていない生徒もここでは様々なスポ
ーツを楽しんでいる。

(2)パレススポーツクラブ
 
「パレススポーツクラブ」は富山県総合体育センターを拠点にして活動している広域型のス
ポーツクラブである。「ふくのスポーツクラブ」と異なり、地域を限定しないで全県からの会員募集を行い運営している。現在は任意団体として活動しているが将来的にはNPO法人を取得するように活動している。「パレススポーツクラブ」の特徴は会員を次の3つに分けていることで
ある。

@セミナー会員
年間を通じて行われている教室で児童生徒を対象としたものと一般を対象としたものの2つがある。児童生徒対象としたものには、トランポリンや水泳、テニスなどがある。そのスポーツの面白さを体感してもらう基礎コースと、競技力の育成を図る選手育成コースがある。一般コー
スは主に運動の習慣をつけてもらう目的のものでエアロビクスやアクアビクス、テニスなどが
開講されている。

Aフランチャイズ会員
自分でサークルなどに所属しているけど、活動場所や道具の確保が難しいといった人を対象
にしている。登録をすれば、毎週同じ時間に同じ場所を確保してくれる。このコースは特に指
導されるということがないので、自分達で自由に活動ができる。種目としてはビーチボール、
バドミントンなどがある。

Bフリー会員
月会費を払えば総合体育センター内にある施設をフリーで使えるというもの。自分でトレーニ
ングメニューを考えることができ、安価でトレーニング施設を使いたいという人に人気がある。また、必要に応じてトレーニングメニューの作成や体力測定なども行われていて、県内の高校、大学の運動部が冬季トレーニングで利用している。

パレススポーツクラブは、拠点となっている富山県総合体育センターが競技力向上のため
の施設ということもあり、ジュニア世代から水球やシンクロナイズドスイミング、トランポリンや
硬式テニス、新体操といった競技のセミナーを行っている。これらは一般的に、若年齢から
指導することで競技力が高まるといわれている。そして何より、これらの種目は、学校のクラ
ブ活動と競合しない、という特徴がある。小・中学校では施設がなかったり、指導者がいなか
ったりして「興味はあるけど、施設がない」といった子供達の受け皿となっている。

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