第1回モデルスポーツクラブ育成研究会の議事録

講義
「都道府県の中核体育施設におけるスポーツクラブ化に向けた取り組みについて」〜大阪なみはやドームの実践から〜
 武庫川女子大学文化健康・スポーツ科学科 教授(前なみはやドーム館長) 橋爪 静夫 氏


・ 戦後の日本のスポーツは行き詰まりの現象が出てきている。
・ 年一回以上のスポーツ実施率は過去30年間65%前後で推移しているにとどまっている。しかし運動希望者は相変わらず90%を越えている。
・ 過去の積み上げに基づくスポーツは減少している。
・ スポーツ人口は横ばいであるが、競技は下降気味、ニュースポーツは上昇。しかしニュースポーツは定着していない。
・ 子どもの数が少ない、先生が少ない、だから合同部活動、外部指導者 → 対処療法になっている。根本的な改善にはなっていない。
・ 今、どう基盤作りをするか。10年後では無理。10年後を想像し、今を見つめ、この先の道筋をつけていかなければならない。
・ 企業スポーツはここ10年間で200ぐらい無くなっている。
・ 中学校教師の64%以上が部活を社会へと考えている。
・ 頂点が高くなれば裾野は広がり、裾野が広がれば頂点が高くなる。
・ 現状を分析し、将来の目的に向かってどんな絵を描いていくかが大切。
・ 行政(施設整備)と競技団体(ソフト面で専門性を発揮)の役割分担を明確にするときがきた。
・ 今は古い流れと新しい流れの過渡期にある。この過渡期をどう過ごすか。

◎研究協議
■富山県広域スポーツセンター
・ 県営体育施設でのクラブ化について感想も含めお聞かせください。

■砺波市
・ パイはある程度決まっている。砺波市でも県営施設と市営施設があり、住み分けを模索している。橋爪先生のご意見をお伺いしたい。

■富山県西部体育センター
・ 西部体育センターとしても砺波市とのバッティングを考慮している。(砺波市の総合運動公園内に西部体育センターはある)なるべく砺波市が行なっていないスポーツ教室から始めている。
・ この研究会には西部体育センターの指導者にも参加いただいている。今後は連携をとっていきたい。

■富山県ソフトテニス協会
・ なみはやドームは府全体を対象としているのか。それともなみはやドームのある近隣市町村だけなのか。

■橋爪先生
・ 各競技団体と連携のもと、全府を対象としている。
・ なみはやドームでは市町村で行う教室のモデル的教室を行なっている。競技と楽しみの二本立てで行なっている。その上で、一般住民のスポーツ教室は市町村にお願いしている面もある。

■富山県高岡総合プール
・ 高岡市との住み分けをしている。具体的に水泳に関しては初級・中級を市長慶寺温水プールにて競技(上級)は高岡総合プールにて行なっている。また、競技という面では民間商業スポーツ施設とのバッティングもある。
・ 橋爪先生の講義にもあったように競技団体が推進を行っていくべきだと思う。そのための具体的方法をお教えいただきたい。 
・ 施設側としては施設の利用率のアップを考えるとセミナーを競技団体へ移行していけば財源的にも良いのではないだろうか。
・ 競技団体にすべて任せると普及という面では効率的な運営を考えるとやらないのではないかという、心配もしている。
・ 県営施設も県総合体育センター・西部体育センター・高岡総合プールと3タイプとも違う。5年後、10年後に計画の修正を行なっていくと講義にはあったが、不安である。

■高岡市
・ 長慶寺温水プールと高岡総合プールでは競技は高岡総合プールという既成概念が一般市民の印象としてある。
・ 総合的なクラブが良いのではと思う。それぞれ(高岡総合プールと長慶寺温水プールに)でクラブを作るとバッティングするなど問題は多いと思う。高岡短大を含め、トータル的な計画を考えていくべきだと思われる。

■富山県水泳連盟
・ 高岡短大は全国の大学の中でも唯一大学内に事業課のある大学。
・ 地域に開かれた大学を目指している、この大学を中心としたクラブ(事業)を計画している。
・ 国・県・市での金銭的な面での課題を考慮していかなければならないだろう。国・県・市の連携が問題。

■富山県高岡総合プール
・ クリアしなければならない行政区画の問題がある。これらをできるところから一つ一つ解決して総合的に計画を進めていきたいと考えている。
・ 周辺には企業もあるので、行政区画のほかに企業を含めた連携を考えていかなければならないであろう

■富山市
・ 富山市の考えでは県は競技力強化の拠点を作っているので、市は生涯スポーツ(一般)の拠点としての位置づけを考え、スポーツ施設設置の予算要求も行なっている。
・ 県と市のそれぞれの役割は何なのかを明確にしていかなければならないと思う。
・ 富山市はジュニア育成(6種目)、県営施設でもジュニア育成していただける種目があれば市としてはそこへ送り込みたい。

■高岡市
・ 高岡市にはうらやましい限りの話だ。高岡市では施設にも人材にも余裕がなく、競技も楽しみスポーツも同じ施設で行なわなければならない。 永生(富山県西部体育センタースポーツ指導係長)
・ これまでの(昨年まで)国の流れから総合型クラブ育成の事業は地域住民の方のクラブというメージがあった。西部体育センターとしても教室実施時に悩んだ。
・ 今日、これまでの考えをお聞きして広域的に砺波市以外の高岡市等との連携も含め協議していけばよいと判断した。
・ また、これが我々の役目なのかなと思われる。(どこのレベルで教室等を開催するか)どこで収益を上げるかも重要な課題である。

■富山県生涯スポーツ協議会
・ それぞれの競技団体は普及と強化をどう考えていらっしゃるか。(拠点施設としても)
・ なみはやドームでは競技団体をどのように口説かれたのか。お教えいただきたい。

■富山県ソフトテニス協会
・ ソフトテニスの小学生チームは呉西に八つ、呉東には一つしかない。
・ 競技団体として中体連部門を本年度より立ち上げ、全県的な育成を行ない始めた。

■富山県卓球協会
・ (卓球の)スポーツ少年団は市町村格差はあるが、クラブチームも各市町村にできている。
・ 県の協会としては小・中の一貫指導体制を検討し始めている。
・ 福光町(卓友会)は町の総合型クラブに今は入りたくないとの姿勢を示している。すでに出来上がっているクラブとしては総合型クラブに入ることのメリットが見えない。今後はもっと話し合いをしていかなければならないとは思っている。
・ 全県的に考えても指導体制の整備は重要であると考えている。

■富山県フェンシング協会
・ 県の協会としての拠点は県総合体育センターである。フェンシングとしてはここ(県総合体育センター)しか残っていない感じがある。
・ 橋爪先生にはなみはやドームでのシンクロ以外での一貫指導体制が行なわれている種目をお聞かせいただきたい。

■橋爪先生
・ バレーボール、テニス、バスケットなど。指導者は各協会のトップ指導者が行なっている。競技協会との連携が取れている。

■富山県総合体育センター
・ (なみはやスポーツクラブ)ではクラブのメンバーがセミナーの指導も行なっているのか。

■橋爪先生
・ YES。現在、館の自主事業とクラブの事業がある。いずれ館の事業もクラブへ委託したいと考えている。
・ 館は施設管理を行なうだけでよくなる。

■富山県ソフトテニス協会
・ 指導者は競技協会からと言われたが専従者ではないのか。

■富山県フェンシング協会
・ 週2回では不足してくるのでは。

■橋爪先生
・ なみはやドームに拠点を置いてやっているだけでいろいろなところ(市町村の施設でも)で展開をすれば良いのではないか。

■バスケットボールグラウジーズ事務局
・ 当初、総合型クラブ育成事業は強化ではないと考えていた。
・ 強化と普及は相反するものと考えていたが、今日のお話をうかがって、今後は連携していくべきかと思った。
・ グラウジーズは選手が事務も行い、うまく機能していない。今後はこちらでの(県総合体育センター)クラブ化に関わっていきたい。

■西部体育センター新体操セミナー指導者代表
・ 民間クラブでは二つ柱(普及と強化)でこれまでも行なってきたが指導者の育成という面で十分に満足できていない。

■富山県体育協会
・ 県体育協会自体が総合型クラブ育成に向けて動いていない感がある。(私見ではあるが)

■富山県卓球協会
・ 競技団体は体育協会の加盟組織である。
・ もっと頭に(体協に)指針を示していただきたい。

■富山県高岡総合プール
・ 学校体育から地域へ移行という面で都市部と郡部ではそれなりに違う。
・ 中体連・高体連の方向性をお聞きしたい。
・ それぞれが動いていると思うが、5年後、10年後に修正といったときに混乱するのではないだろうか。
・ 基本方針を示さないといけないのではないだろうか。

◎指導助言
■富山県広域スポーツセンター
1) 地域によるクラブの住み分け
2) 施設の設置目的による住み分け
3)競技団体との連携のあり方
4)地域の総合型と既存のクラブとの連携
5)中体連・高体連と総合型の関係 と多くの課題があがったがピックアップして助言いただきたい。

■北村先生
・ 住み分けをすべきかどうか、本当に明確にすべきなのか。
・ エリアを決める必要性はどれくらいの参加対象者を見込むかではないだろうか。
・ 拠点をもっとたくさん作るべきではないだろうか。その拠点エリアで何ができるのかを考えていくべき。
・ 県・市の施設ではそこを生かすものは何なのか。学校開放のできることは何なのかを明確にしていくときにきたのではないだろうか。
・ 学校教育を担当している立場としては学校教育におけるスポーツによる育成を残しながらエリアの住み分けを考えていかなければいけないであろう。
・ 県と市のエリア・役割をもっと模索していただいてもいいのでは。

■橋爪先生
・ 施設を建てたときに設置目的を決めている。その目的を達成できるような事業推進が必要である。
・ 多様な目的を持った施設をトータルに考え、色分けをすべきである。
・ 縦割り行政の無駄をなくし、それぞれの役割分担を明確にし、事業を進めていくべき。
・ それぞれの施設として、(民も含め)何をすべきか、何をするか、何をしたいのかをぶつけ合う時が来た。
・ 学校体育は重要、スポーツ教育を教えるのが学校、それをもとに実践するのが地域。学校だけでは無理、相乗効果を期待したい。
・ 中体連・高体連は変わっていくだろう。学校体育も楽しみ型と強化型に大会を分けていくべきだ。
・ 競技力向上もタレントの発掘を行なうべき。学校から世界に通じるピアニストは出ない。スポーツも同じ。
・ 協力、システム作りを行い、その中で施設は、競技団体は何を行なうかを検討していただきたい。
・ なみはやドームも民間委託をしようとしている。(コストの面、効率の面などを考えると)金銭的な問題は大きい。国にもお金はない。今後はやはりtoto。totoをどう活用するかも検討しなければならない。早くやらないと間に合わない。

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