第7回スポーツクラブ研究会 議事録

◎育成計画中間発表、質疑等
   助言者   福島大学教育学部助教授  黒須 充
          金沢大学教育学部助教授  清水 紀宏

1)福岡町 中間発表
   
発表者  福岡町推薦クラブマネージャー候補者
   質疑応答、研究協議、助言

○委 員
・ 屋台村のビーチボールの指導は誰が行っているのか。
・ 体協や町の登録団体はどこで活動しているのか。Uホール以外の場所なのか。


○発表者(1)

・ サークルや協会の方々で指導者を出してもらっている。将来的にはこれらの方々にも会員になっていただけるようなメリットがあればと思う。
・ 日頃の活動団体は、Uホール以外の地区のセンターや学校体育館で活動している。

○委 員

・ 福岡町にある4ヶ所のトレーニングセンターは、ビーチボールサークルの活動場所のために確保している。小、中学校の体育館は、体協加盟団体のために確保している。
・ トレーニングセンターや学校体育施設は、サークルや協会に利用してもらい、国体で卓球のメイン会場となるUホールは、国体終了後は生涯スポーツの拠点としていきたい。
・ ビーチボールの指導者については、サークルの方に謝金を払って指導を依頼している。個人の方にも指導をお願いしているが、協会のほうで順番に指導者を出してもらっているのが現状である。
・ 謝金が協会の活動費になっている。軽スポーツの教室については、サークルのメンバーが増えて良かった、というお礼の言葉をいただくことができた。

○委 員

・ 総合型スポーツクラブとしてのUクラブは、競技力向上やスポーツ専門的なものをさらに取り込んでいく運営をしていくのか、それとも生涯スポーツを中心とした運営なのか。
・ 目標の会員数1,300人という人数が入会したとして、その方々の活動を確保し、和気あいあい楽しむということができるのか。

○発表者(1)

・ 生涯スポーツ中心で始めて、最終的には底辺拡大になって、競技団体も一緒に混じった形になるのが理想的である。

○委 員

・ 生涯スポーツ推進会議のなかでは、やはり競技力向上の部分で、一種目の屋台村もしていかなければならないのではないかという意見もあった。同じ場所の違うコートで競技力向上を目指すものも含め、初級から上級までが一緒にできるような屋台村である。
・ 将来的には、屋台村が開催される曜日を増やしたり、B&G海洋センターを利用したり、高齢者においてはUホールでなく、居住地近くの公民館も活用していきたいが、まだ煮詰めていない段階である。

○司会者
・ 当然会員が増えればクラブとしては嬉しいことだが、一人一人の会員に対して、会費に見合うメリットを提供する力がクラブにあるかということが根底にあると思う。

○発表者(1)
・ 各地区のトレーニングセンターは地域に非常に密着しているので、もっと活用方法を考えていきたい。

○司会者
・ 生涯スポーツ推進会議では同じ屋台村の教室でも、競技団体の方々は、自分たちの活動とは違うと思われたし、一方、屋台村形式の教室でさえも敷居が高いという意見があり、その人によって受け止め方が違うと感じた。
・ 競技団体のためのメニューも考えていかなければならないし、もっとハードルを下げたところから始めるということも必要性を感じる。

○発表者(1)

・ メニューの中には、競技団体にも十分受け入れてもらえるようなプログラムを考えていく必要がある。いろんな教室でもって解決していきたい。

○委 員
・ Uホールはスポーツと文化の複合施設なので、将来的にはアリーナでスポーツの屋台村をしているときに、同時展開で文化的な教室も開催する方向へ持っていきたい。
・ 体の都合が悪くなりスポーツに参加できない状態になったときには、文化的な教室のほうでもメンバーとのコミュニケーションをとることができる。

○委 員
・ 福野町はバドミントンが単一種目の屋台村である。(小、中、高校生が対象)
・ 指導者がその種目のコーディネーターになるという発想はいいと思う。教室のなかでメニューをコーディネートし、いろんな活動を提供してくれるのは指導者である。
・ 単発的に来た人でも、すぐに入って一緒に活動できるような雰囲気をつくることが大切である。
・ 単一種目の多世代型で、日替わり、場所替えでいろんな種目ができることが望ましい。
・ イベントとしての屋台村形式にしていけばいいのではないか。

○助言 金沢大学教育学部 清水
・ 競技スポーツやいろんな団体をどう取り込んでいくかということは、どのクラブにおいても抱えていかなければならない問題である。
・ 外からの力によって、3年間のうちに総合型クラブの形をある程度作らなければならない場合と、何か問題があって地域住民が自発的に変えていく場合とでは、プロセスが違ってくると思う。
・ 今日発表された時点での福岡町の段階は、自分のイメージからするとまだまだのように感じる。
・ モデル事業の場合、できるところからスタートしてみるということが必要である。立ち上がって、継続的にクラブを良くしていくためには、活動の場を広げていくという支援が必要になってくると思う。
・ 総合型の事業が始まって、ようやく生涯スポーツが市民権を得るようになってきた。一般市民や競技団体のレベルのなかでは、やはり競技スポーツという意識が一歩上だったが、福岡町の会議を見ていると、生涯スポーツに関わっている人達や指導者の発言力というものがだんだんと出てきており、聞く耳を持ちつつあるというのが良い傾向であるように感じる。
・ 昨年は補助金をとってきたから町がやらなければならないという意識が感じられたが、今は住民達で構成されている準備委員会が、自分たちの町のことをまじめに考えるようになってきている。
・ 今後の構想の中で、行政と準備委員会の歩調が合わなくなっていくことが懸念される。(行政→段取り良く進めていきたい。住民→納得した形で進めていきたい。)行政側が一歩引いて、住民が納得した形で進めていくべきである。


2)黒部市 中間発表
  
発表者  黒部市推薦クラブマネージャー候補者
  質疑応答、研究協議、助言

○委 員

・ ちびっ子教室は多種目とあるが、どんなメニューなのか。
・ ソフトエアロビクスとはどういうものなのか。黒部市体育協会のように事務局があって10回で5,000円が高いと言われるのは、不思議に感じる。

○発表者(2)

・ ちびっこ教室については主にバレーボール、水泳、バドミントン、体操、バスケットボール、陸上、Tボール、剣道である。3コースで共通しているものは水泳、2コースで共通しているのはバレーボール、体操、剣道、バドミントンである。
・ ソフトエアロビクスは本格的なエアロビクスほどハードではなく、初級のためのものである。
・ 指導者謝金については行政のほうから支払っていたが、将来、参加料は無料(行政主体)だったのが急に5,000円になると、参加者は困惑してしまうので当初からとるようにした。

○司会者

・ 富山県の場合はモデル事業をとっていると、無料の教室や無料で使用できる体育施設が多く、受益者負担ということについて、なかなか理解してもらえない。
・ 黒部市は総合型にする前から、受益者負担ということがある程度理解されつつあるのではないかと思う。総合型クラブを作る上では、受益者負担をどれだけ理解してもらえるかということが大切な要素になってくるので、そういった面では黒部市はスムースにいくのではないか。
・ 総合型クラブにすることが本当に必要なのか、このままでいいのではないかといった意見もあるのではないか。

○発表者(2)

・ 体協が行っている共通種目で、たとえば年間の会費で会員制にして、会員になったら体育施設を自由に使えるというような構想はあるが、実際に参加している人達の意見を具体的に聞いていきたい。

○委 員

・ 3ヶ月で1クールの教室だが、その後の参加者の傾向はどうなのか。

○発表者(2)

・ エアロビクスについては継続する人が多いし、教室に参加している人が知人を勧誘してくれることによって新しい人も増え、参加者は膨れ上がっている。
・ 教室の数を増やしてもいいが、先生が一人しかいないので負担が大きくなってしまう。今の状態で手一杯である。

○委 員

・ 次のクールの申し込みで、継続する人と新規の人の優先順位はあるのか。

○発表者(2)

・ 現在は優先順位という制限はなく、申し込み順である。ただ総合型クラブということになると、優先順位の整理も必要になる。

○委 員
・ 黒部市では、バレーボールなど地域スポーツに取り組んでおられるが、その他の競技についても詳しく教えて欲しい。
・ 今後の取り組みとして、現行の黒部市総合体育センターのIDカード活用とあるが、現在でどの程度の機能を持っているのか。

○発表者(2)
・ その他の種目については、野球、サッカー、バレーボールのスポ少が10校下の全地区にある。少子化で、チーム自体が成立しなくなってきている。バレーボールは合併し始めている。
・ バスケットボールは10校下中、2チームになり、市内全域から集まっている。
・ 中学校では指導する先生の人事異動に伴い、選手も辞めてしまい、部活動がそのまま終わっていくといった傾向があるので、やはり指導者のサポートも必要だと感じる。
・ IDカードは体育センターがオープンした時に1枚500円で購入してもらい、トレーニングルーム、温水プールを定期的に使う場合に自由に入館ができるようにした。体力測定時には、データ入力をすることによって自己管理ができる。教室に参加している人にもカードを持ってもらい、自由に入館できるというシステムになっている。入退館処理、教室参加者数の把握にも役立っている。
・ IDカードを活用してクラブ化にするときは、何か別のサービスを考えていかなければならない。(例 ゴールドカードにして、年間通して自由に利用できる等)
・ 多くの人がカードを持っており、現行のカードでやるとみんなが無料になってしまうので、その辺の整理も必要である。

○委 員
・ 現行のカードを使うと無料になってしまうということだが、それを変えて課金システムというものを作れないのか。

○発表者(2)
・ そこまではできないのではないかと思う。

○司会者
・ 総合型では比較的規模の大きな市では育成が難しいと言われるが、黒部市は地区体協も含めながら市内全域を対象に、総合体育センターを中核施設として育成しようと考えている。

○委 員
・ 新しくできた氷見市ふれあいスポーツセンター(国体ではハンドボールのメイン会場)は、国体終了後は市民の生涯スポーツの拠点として、いろんな人にどんどん活用して欲しい。活用してもらうためには、教室事業をして定期利用者を増やすことが大切である。
・ 各競技団体に、体協と行政が一体となって何か教室ができないものかと提案した。その結果、補助金は出すが、やはりこれからは受益者負担にするべきであり、参加する人からもお金を集めて運営することになった。
・ 当初15教室でスタートする予定だったが、実際には昨春16教室でスタートした。1年間の活動状況は、各教室の人数も増え、今年はもう一クラス増やした。教室の全体的なとりまとめとして、我々のほうで調整している。
・ もっと視野を広げてもらいたいという意味もあって、年何回か集まって話し合いの場を設けたり、昨年は年度末に各教室の発表会、その後懇親会をして交流を深めた。
・ 現在の参加者は全19教室で、計700〜800人である。大きな施設だが、これ以上は人数的に限界である。
・ IDカードについては3年間で補助金が終わるので、その後の利用者へのメリットという点で考えたい。また、他のメリットを感じさせながらやる手立てとして何がいいのかということを、氷見市でもどうするべきか考えている。

○委 員
・ 19教室というのは3ヶ月とかではなく、通年なのか。
・ ふくのスポーツクラブで言うと、セミナーというイメージになるのではないか。

○委 員
・ 教室は通年で行っている。

○司会者
・ 教室というのは、あくまで一つの教室にお金を払うことである。クラブ化にするとどうなるかというと、年会費や月会費をクラブが一括管理し、いくつかの種目の中から自分でメニューを見て、都合のいい時間に参加することができる。
・ 総合型にする必要が本当にあるのかどうなのか。その種目だけをやりたいという人にとっては、今までの料金でその種目だけの教室でいいのではないのかという考えもあると思うが、実際に総合型で活動しているふくのスポーツクラブでは、セミナー参加者の反応はどうか。

○委 員
・ いくつも選んでいる人は結構いる。会員になることによって、セミナーはどこへいってもいいと認識している。
・ 現在2,900人ほどの会員がいるが、自分のやりたいスポーツが決まってくるので、同じところにいくような傾向になってくる。

○委 員
・ 氷見の場合はそれぞれの教室をやっているが、一人で二つ三つの教室に参加してそれぞれに参加費を納めている。
・ 氷見市プール・トレーニングセンターでは、水泳とエアロビクスをやっている。ふれあいスポーツセンターの教室とは違っており、体協収益事業として指導員もいる。水泳の指導者はライセンスをもった体協の職員、エアロビクスのほうは外部指導者である。受益者負担で収入を得ている。

○委 員
・ 氷見市ふれあいスポーツセンターでは、19のクラブができつつあると考えればいいのか。

○委 員
・ 体育館については、クラブと言えると思う。
・ ここは我々がやっているんだというレベルの指導者でも、自主運営に向けて組織作りをしている。体育館を使うというということは当然使用料がいる。使用料に対して参加費でやりくりしようとしている。

○助言 金沢大学教育学部 清水
・ あまり急がないでやろうというところが良い。
・ 総合型とは一体何なのかとか、それを何で作るかということを少なくとも関係者だけでも理解していかなければならない。
・ 黒部市が抱えている問題点は、スポーツをする人が減少しているということだと思う。スポーツをする人が減少しているという問題は、行政や体協という組織の問題でもある。地域の人にとっての問題ではない。むしろ減っている理由が問題である。例えばしたくてもできないという人が多いのか、どういう理由でできないのか、そこが問題である。行政や体協がいつまでも運営していくわけではないので、地域の人がなぜクラブを作らなければならないか、地域の人が問題を明確にすべきである。
・ 前進的なクラブ作りの構想だが、もう少し勉強されたほうがよいのではないかと思う。なぜ総合型というのが徹底的に地域、なぜ中学校区というエリアを対象にしているのかということをもう一度考えていただきたい。そこにはそれなりの意味がある。
・ 地域住民のコミュニティというものを考えるのであれば、やはり地域を大事にするべきである。
・ なぜ地域であり、なぜ学校なのかをもう一度考えてみる必要がある。



3) 福光町 中間発表(*資料参照)
  
発表者  福光町教育委員会体育課指導係長
  質疑応答、研究協議、助言

○司会者

・ 中学校の合同部活動や部活動加入の自由化ということで、現在卓球、野球、陸上、柔道がクラブ化へ動き始めていることについて、もう少し詳しく聞かせて欲しい。

○発表者(3)

・ 卓球(協会)は週3回、小・中・高校生、一般が集まっている。協会の指導者である。
・ 野球(協会)は週1回、小、中学生が一緒にやれないものかということで、小学生の上手い子も中に入っている。協会の指導者である。
・ 陸上は週2回、スポ少と中学の陸上部希望者が一緒に練習している。
・ 柔道については、よく分からないがクラブ化の動きがある。
・ 4小学校、2中学校の壁は関係なく、一緒に練習している。

○司会者

・ それは自然発生的にできたものなのか。スポ少で一緒にやっているのに中学生になると2つに分かれなければならない。もう一回、一緒にやりたいというところから始まったのか、教育委員会のほうで指導があったのか。

○発表者(3)

・ その辺についてはよく分からないが、競技力向上のためだと思う。野球のほうは長い目で見て、育って行った子どもたちが、いずれは町に帰ってきて指導して欲しいという思いがある。
・ 卓球については、競技力向上だと思う。

○委 員

・ 小杉町では、スポーツをする人は活発に活動している。体育館は昼も夜も満杯状態である。
・ スポーツをする人というのは、昼も夜もだいたい同じ顔ぶれである。
・ 一貫して指導している種目は、中学校、高校の連絡ができている柔道とハンドボールである。高校が一つしかなく、ほとんど富山、高岡へ出て行ってしまう。
・ 人口が増えてしまった割には体育館が2つしかなく、ハードウェアがついていっていないのが現状である。
・ 小中一貫ということに関しては、柔道が国体の種目ということもあり、10年前まではスポ少→中学校→高校でという流れはできていた。最近は地元でもなかなか選手がいなくなり、越境入学してくるということもあったが、長い目で見ればいいのだろうか。
・ 国体が終了したら、子供から育てて大人までということも考えていきたい。

○司会者

・ 総合型のクラブ育成のときに、競技力向上についてはどうするかということが問題となる。生涯スポーツ、エンジョイスポーツの部分だけを総合型でカバーして、競技力向上を取り込むのは難しいのではないかという意見もあるし、体協で競技力の事業だけをしている方には、自分たちには関係のない事業だと言われる場合もある。そのあたり福光町ではどんなものか。

○発表者(3)

・ トップの方は理解していた感じであるが、総合型クラブをどんなふうにするかというところまではいっていない。
・ 総合型にする必要があってというのではなく、他の町が取り組んでいるということで理解している。
・ 協会のほうでも、スポ少のチームが成り立たないことや中学校の部活動が廃部になることによって、自分たちの町の種目がなくなるということは寂しいことだと感じている。
・ バレーボールでは教室をしており、小、中学生が合同で練習している。底辺拡大に力を入れていきたい。

○委 員

・ 組織がどんなふうに連携するかということが、一つのカギになるのではないか。
・ とかくクラブが提供するサービスの中身に話がいきがちだが、教室を開催する場合には場所や指導者もいるわけで、資源の調達のためにはいろんな組織との連携が大事である。
・ クラブの中身の問題を考えると同時にどこと連携すればいいか、ネットワークの未来図、青写真を頭の中に入れて考える必要がある。
・ 中身の問題と同じに、プロセスの問題を考える必要がある。

○助言 金沢大学教育学部 清水

・ 今までの生涯スポーツの中心的なターゲットは中高年で、他の組織というものはあまり関わっていなかった。若年層を中心としたクラブ育成となると、学校との関係をクリアしないと前に進めない。
・ 学校を巡っての子供達の問題行動が起こっているが、簡単に言えば学校が面白くないということである。
・ 学校再建ということが、21世紀に向けての学校の課題になっている。学校は単に勉強する場だけではなく、子どもたちの大事な生活の場である。生活の場というのはスポーツや文化活動も必要であるということである。
・ 学校の部活動のメンバーが少なくて維持できないから、地域社会にもっていけばいいといった短絡的なものではない。学校の部活動は形を変えながらも、それなりの存続が必要である。部活動が将来的になくなるというビジョンはあまりよくない。
・ 部活動があったことによって学校生活に魅力があったという方は多いだろうし、今の子どもたちの意見を聞いても、大部分の子どもたちは学校の部活動というのは楽しいと言っている。
・ 部活動というのは競技スポーツで、子どもたちが一つの種目しかできない。それもかなりレベルが高くなっており、部活動のあり方も見直すべきである。学校教育の中での位置づけを考えていかなければならない。
・ 地域でやるほうがいいということを考える必要がある。学校ができなくなったから地域が肩代わりするという消極的なものではない。むしろ学校が手放したいというのであれば、責任の放棄ではないかということも必要である。
・ 福光町の発表で「20年後を見越したクラブ作りをしていきたい」という点が良いと感じた。自分も常々、総合型クラブが日本の社会に定着するためには、今のこどもたちが地域の担い手になったとき、あるいはその次の世代になったときと思っている。ヨーロッパの事例でも100年の歴史をかけて地域に根付いていっている。長い目でクラブを作っていきたいということは、考え方としては非常に素晴らしいと思う。
・ クラブ運営の場に中学生や高校生が出てくる働きかけを、大人たちが考えていくことが大切である。子どもが自分たちの町を、自分たちのクラブを考えるということが、次の世代が地域の担い手となったときに、消えないで残り大きな決め手となる。
・ 町の活動が今よりも盛んだったころ、子どもが町の行事を運営していた。中学生になったら小学生の面倒をみて、高校生になったら青年団として町の活動をする。こうやって町としての力量を作っていった。今ではそういうことがないために、大人になっても必要性も感じなくて、地域のまとまりがなくなっていく。総合型クラブは青少年を中心として考えていくのであれば、それはすごく大事なことである。福光町は青少年の問題からスタートしているので、そういうこともぜひ考えて欲しい。


◎指導・助言
 福島大学教育学部助教授  黒須 充

・ 富山県は他の都道府県の事例と比べ、進んでいると感じる。ただ、前を走っている人がいないということで、おそらく他にはない悩みも抱えているのではないかと思う。
・ 総合型地域スポーツクラブというものが、例えばこれまでスポーツをしない人が参加するようになって良かったとは思われていないと思う。ただそのときに一抹の不安、総合型地域スポーツクラブというものが何なのかというところが堂々巡りしてしまうところがでてきてしまう。
・ なかなかできない当たり前、それができれば一人前。(総合型のクラブが一人前になっていくことと捉えている)
     一人前 ― 組織 ―  自立
           \ 会員 /

・ 組織→その他の機関に依存する形ではない。会員→ただ参加するのではなく、クラブの担い手になること。組織として自立すること、会員、個人として自立していくことを目指す。
・ 日本スポーツクラブ協会が全国のスポーツクラブを対象とした調査の結果、1964年(東京オリンピック開催の年)以前に設立された、いわゆる35年以上続いているクラブは、わずか3%でしかないということが分かった。一代限り、自然消滅してしまって寿命が短いというのが我が国の現状である。50年、100年継続できるような組織を、どう作っていくかというところからスタートするべきである。
・ 組織が自立していくことがなぜ大切かと言うと、学校、企業、地域のクラブそれぞれが今いろんな問題を抱えていて他の機関に依存してしまうことになると、社会が変わるたびに影響を受けてしまうことになる。
・ 会員が誰かに支えられているクラブではなく、やはり会員が支えるクラブを作るべきである。それが一人前のクラブを作っていくことにつながるのではないか。
・ クラブ作りを目指すときに既存の団体との摩擦が生じたり、問題は山積みかと思う。しかしそういった問題を、みんなで乗り越えて解決していくこともクラブの財産になっていく。
・ 行政や体協が自立を阻んでしまうことや、学校の運動部が一人前のクラブを育てていくことに対して、足かせになってしまうことがないような構想を描いていくべきである。
・ それぞれの地域で継続性のあるクラブを作っていくためには、外からの改革ではなく、内からの改革で、本当に必要があるかどうかということを理解することが大切である。
・ 文部省から出されたスポーツ振興基本計画の答申でも、各都道府県が総合型のクラブに対して目指そうとしている構想内容でも、生涯スポーツや学校スポーツ、競技スポーツをどう発展させていくかという点は、全てを取り込んでしまって、なかなか解決の糸口が見つかっていないように感じる。
・ それぞれの地域がそれぞれの地域で一人前になるためには、今までの21世紀のスポーツシーンを変えるような取り組みが必要である。単独でやっていかなければならないということではなく、全面的にバックアップしていこうとする動き(広域スポーツセンター、県、または文部省のスポーツ振興基本計画にある総合型地域スポーツクラブの全国展開)も合わせて、もう一度自分たちの町の問題として捉え、話し合いを進めていく必要がある。それを繰り返していくことによって、そのクラブで育った子どもたちが、やがて指導者になって次の世代の子どもたちを育てていくといった、継続性のあるクラブとして地域のスポーツ文化というものを確立、または定着するという動きになっていく。
・ 県も国も足並みの乱れを正して、バックアップする体制を整理していかなければならない。
・ 県が全て分かっている状態で進めていくのではなくて、問題点も含めながら同時に進んでいる状況ではないかと思っているし、文部省の基本計画でもまだまだ煮詰めて直していかなければならないような点も含まれていると思う。それを待って動き出すということではなく、21世紀のスポーツのありかたを変えるといった夢のプロジェクトとして、この総合型地域スポーツクラブを自分たちの町の問題として考えていくことで、町の人達もわくわくしてその事業に取り組んでいくというようなところが、一番健全な形の動きであるように感じる。


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