第9回スポーツクラブ研究会 議事録


◎講義 
 「総合型地域スポーツクラブと各種スポーツ団体との関係及び連携のあり方」
  筑波大学体育科学系助教授 西嶋 尚彦 氏
  
 ・ 地域スポーツ振興施策について
 ・ 広域スポーツセンターの支援について
 ・ 都道府県のトレーニングシステムについて
 ・ 総合型地域スポーツクラブの立ち上げ方


◎研究協議

○進行
・クラブに各競技団体、各団体がどんなふうに連携・役割をもてばいいか提言・ご意見を伺いたい。

○富山大学教育学部助教授 布村
・ 競技力向上との関係が見えてこない。
・ (質問)補欠0の試合を組むとき、どこが中心になって組むのか。広域か、各競技団体か。また、うまくいっている例はあるのか。
・ (質問)企業スポーツ、学校スポーツから地域スポーツへのシフトがある中、企業チームを抱えると年間数億円かかる。それらを抱える力が地域にあるのか。

○筑波大学体育科学系助教授 西嶋
・ 福島国体の時に福島県で少年テニスの県内の試合を意識的に多くした。ゲームを多くすることでうまくなった。同様にスペインのテニス界は世界ランキング5から10位の選手が多い。計画的に試合を増やしている。
・ 国によって、地域によって違うが青少年に年間の試合を増やすとうまくなる。
・ 大学サッカーでは決勝までいっても年間40試合が精一杯。普通は15試合程度。
・ Jリーグになることで試合数が確保される。
・ ブラジルなどは週末と週中で試合をし、年間70試合を超える。
・ タレントを発掘しながら試合を確保するのには、サテライト型デビジョン制が有効である。
・ 国体を誘致して5年間で強化するには、強化費をどこにつぎ込むかである。
・ 企業クラブが地域の中にできるかどうかは、1つはバスケやハンドがプロ化すること、そして、儲かる仕組みと参加するクラブをどこで抱えるかを考えることである。
・ バレーや陸上、サッカーがワールドツアーを始めた。メディアバリューとしてTVや雑誌がついてきて、大会自体が儲かるようになる。
・ ワールドカップサッカーが4年毎なので、FIFAクラブカップ選手権を毎年行った。どうプロ化するかは、メディアバリューをどう活用するかによる。
・ 新潟市はバスケもバレーもアルビレックス、広島市はトップス、では富山はどうするのか。
・ 地域で支えるかどうかは全国リーグ自体が収益をあげているかによる。
・ Lリーグは、一企業単体で行い、儲かる発想ができなかった。

○進行 
・古川電工→アイスバックス 運営年間2億円だった、それを6000万円日光市が抱え、それ以外を補助と自主財源で支えようとしたが、どうなったのか。

○筑波大学体育科学系助教授 西嶋
・ いったん持ち直したが、また傾いた。1シーズンで収支が合わなくなった。
・ サッカーでは横浜FCが住民の声で立ち上げた。

○進行
・ 富山県ではどうか。立山アルミの女子ハンドボール部の様子はどうか。

○富山県ハンドボール協会理事長
・ 国体後、立山アルミがここまでやってくれるかと心配していた。
・ 企業チームに頼っているのが現状である。日本リーグに出ると3,000万円必要である。1企業でなく地域で持つとなると資金繰りが大変である。また、選手の確保、施設の確保等運営も大変である。
・ 氷見市はハンドボールが盛んである。小中校でも盛んであるが、少子化で小学校 のチームが成り立たなくなってきている。解決策として、ふれあいスポーツセンターに集まって合同練習をするようになってきた。
・ クラブの大会がなく学校の大会しかないので、どうやって底辺を拡大しながら競技力を向上させるかが難しい。

○富山県ラグビー協会(高岡市ジュニアラグビースクール)
・ 高岡市全域に呼びかけて保育園児から中学まで毎年80名以上が活動している。
・ ラグビー単独のクラブチーム目指して保育園児から70・80歳代の高齢者まで のクラブにしたいと思っているが、現在壁に当たっている。人の確保と施設の確保が難しい。
・ スポーツコアが拠点だが使えない日が多く拠点となり得ない。
・ 総合型の考えはいいが、自分たちがどうかかわっていけばいいか難しい。いろいろなスポーツの中からラグビーを選んでくれたらありがたい。
・ ラグビーは15人も必要なスポーツなので、人の問題は大きい。総合型によってたくさん集まった中からラグビーをやる子が増えるとありがたい。 

○進行
・ 施設の立場からはどうか。

○富山県西部体育センター
・ 開館して丸2年、県西部の拠点として立ち上げ、利用者も伸びているがまだまだである。
・ 県の方針もあり、クラブ立ち上げに向けて動いている。2月の運営協議会で立ち上げたいとの意向を伝え、情報集めをしている。
・ フランチャイズになりつつある競技団体と近隣の中・高を取り込むため学校を回らせていただいている。校長は全員部活動を推進する方針であった。
・ 子供たちの活動時間帯を考え、3年だけ夜活動し外部指導者の指導、1・2年は部活動の時間としているところもあるが、顧問が出向かないとだめな場合が多く、顧問の過重負担になっている。
・ スポ少とのかかわりでは、うちの施設の新体操クラブが200名以上の部員を抱えているが、中学校に受け皿がない。中学校に受け皿のないスポ少はやらなければよいとまで言われた。
・ 中学校の垣根はかなり高い。高校では交流試合もあるが、如何せん中学校では予選会の域を脱していない。
・ クラブが主催した大会をするため検討している。部活に受け皿のない種目の子や部活についていけない子を取り込むクラブのあり方を検討している。
・ 準備委員会で今後、科トレ、プール、ラグビー場との連携も考え、砺波らしいクラブのあり方を考えてみたい。 

○進行
・ クラブのあり方として、競技力向上を前面に出したものなのか。

○富山県西部体育センター
・ しぼった方向はない。今後委員の方々の意見を聞いて方向を見つけたい。

○富山県高岡総合プール
・ 高岡プールはできることできないことがはっきりしている。水泳中心で高岡市水連と協議してすすめたい。
・ 施設周辺に国立短期大学、ポリテクセンター、社会福祉センター、工業センター等がありこういったところのスポーツ施設も有効に使ったクラブ化も目指したい。また、大企業とも協議していきたい。
・ 地域の特色を生かし、総合型の目指しているものに近づけたい。
・ 連携には時間がかかる。長期的なビジョンにたってしかもここ10年のできるだけ早い時期に取り組みたい。
・ 市水連を中心にして、強化・普及を含めて、長慶寺のプールとある点リンクして、ある点すみわけしてすすめたい。市の教育委員会とも連携とりたい。

○進行
・ 学校運動部活動の抱える問題点等についてはどうか。

○富山県立新湊高校新体操部監督
・ 男子の新体操はとてもマイナーである。新湊で始めて7年目、小学校のクラブ、中学校の部活を作り、国体の4年前に高校に新体操部をつくり国体を迎えた。
・ 高校まで続けている子が少ない。小・中からほんの一部しか上がってこない。今年部員が2名になった。
・ 新湊高では、新体操だけではなくバレーボール、ハンドボール、柔道も同様で廃部になったものもある。
・ スポーツにかかわろうとする生徒が年々少なくなっている。学校でさえやらないのに地域でやろうという子は、さらに少ない。相当広報、PRしないと難しい。
・ いろいろなスポーツにかかわる子が増えればいい。新湊でも総合型が始まった。協力の依頼があったが、この中で競技力向上も取り込むとなると大きなことをしなくてはならないと思う。
・ ヨットと新体操をメインに考えているがマイナーなので、人口が増えるか不安である。

○進行
・ 指導者の活用についてはどうか。

○富山県西部体育センター
・ スポーツ教室での指導者の確保も大切だが、指導者のプロ化を考えている。一流の指導者のもとにたくさんの教室生が集まる。そして、生活できるくらいの収入が得られるほどにならないかと思っている。ボランティアには限界がある。

○筑波大学体育科学系助教授 西嶋
・ Jリーグができて指導者として雇われた人は教育現場の指導者を2年で完全に抜いた。教育者としての側面をもつ方には限界がある。プロ化した指導者にはかなわない。
・ オーストラリアでは、地域(州)を決めて学校の先生方を体育の専門の指導者として抱え、その中の何人かをプロの指導者にするシステムがある。

○進行
・ 競技団体を束ねている体育協会として、総合型に期待すること、かかわりはどうか。

○体育協会普及強化部強化課長
・ 難しく理解するのも大変である。将来的にはいいが、現状では難しい点がいくつ もある。
・ 日体協の下に県体協、その下に競技団体、その中に指導者という組織がある。組 織があるものを無視して、新しい組織をつくろうというふうに見える。
・ サテライト型等の企画は誰がやるのか。
・ 誰でも楽しいクラブならいいが、競技力となると明確にされていない点がたくさ んある。
・ この考えの富山バージョンをつくらないとだめである。
・ プロ化でも金がないとできない。地方公共団体に頼るのか。富山にもJリーグの 話しがあったが、1つのチームに公共団体として支援するのが妥当なのかとの議論があり、受け入れられなかった。

○進行 
・ 構想と具体的なものにギャップがある。

○筑波大学体育科学系助教授 西嶋
・ 縦割り行政の弊害がある。例えば、生涯スポーツと競技スポーツ、JOCと日体協の頭二つ体制である。
・ 日体協は何するのか。国体を抱えている。国体に出た富山を代表する選手が次に進んでいけるシステムつくりが大切である。
・ 全国のトップのところは整備されようとしている。下の部分が整備されていないのではないか。

○進行
・選手の立場からはどうか。

○元三協アルミバドミントン部選手
・三協アルミにいたときに企業が中心になって、小中が出られる大会(トライアングルカップ)をつくっていた。プロの選手にあこがれて努力していた。三協がなくなりこの大会も企業スポーツもできなくなったのが残念。
・富山市、富山県として考えてほしい。大勢でなくていいから中学校の中で何人かをピックアップして出られる大会をつくってほしい。

○元北陸電力男子バレーボール部監督
・ 国体の時には9人制の監督をほかの方に譲り、裏方としていろいろ考えた。
・ 9人制バレーボール国際大会がない。6人制は弱くなり、バレー人口が減ってき た。6人制はV1リーグでも入場料を取っているが、9人制は無料で財源がない。メンバーの手出し、企業の手出しである。
・ 昨年は国体の強化指定でお金が出ていたが、今年からは全くの同好会扱いで、遠征、合宿もできない。競技力を維持できない。
・ 小学校でバレーをしていても、中学・高校にないという子がいる。私学では地域 をまたいで選手を集めることをやっているが、そんな子の中には部をやめると学校までやめる子もいる。私案だが、そんな子達を集めて、練習の前に指導できたらいい。会社に施設もあるので、会社が理解してくれれば企業が進める地域スポーツクラブが可能になる。


◎指導助言

○金沢大学教育学部助教授 佐川
・ 非常に幅の広い話である。
・ クラブとは、スポーツをする場であり、スポーツとの機会づくりをどうするかを考えるのがクラブである。そして、スポーツ人口、頻度を上げていくのがクラブの目的である。
・ 国、県、体協、関係団体等の役割は、そのシステムつくりである。クラブではどんどん場を確保し、競技団体・体協はどうシステムをつくるかが大切である。強い選手をつくるのではなく、強い選手が上がってくることができるシステムを作ることが大切だ。
 ・ 国、県、地区が総合型に取り組んでいるが、日本は縦割りの組織が強い。広域ス ポーツセンターの仕事はこれを横同士どうつなげていくかである。
・ 今日のこの場の成果をそれぞれが組織に持ち帰って、どう協議してもらえるかが大切である。
・ 広域スポーツセンターがこの場を作ったことが意味ある。ここでプランが1つで きるほどになればいい。

○富山大学教育学部助教授 布村
・ 各競技団体拠点をもっている。すべての市町村ごとの協会に平等に支援することも必要だし、強化するところにも横並びの支援が必要である。
・ 総合型地域スポーツクラブは競技を発展させる上で、利用できる。サテライト型デビジョン制は、従来の学校単位の大会を変えていく方策として注目できる。
・ いろんな形でいろんなスポーツにかかわってきた人たちが、いろんな大会に出られることが大切。これの富山県バージョンが具体的な方策になるであろう。

○筑波大学体育科学系助教授 西嶋
・ 今日の話は資料5ページ目に集約される。提言でなく、スポーツ推進基本計画に則った話しである。広域スポーツセンター、総合型地域スポーツクラブをその中に取り込んだのがこの図(資料)である。しかし、多様なあり方がある。これを地域で模索してほしい。
・ それぞれの協会ではトレセン制度をつくり、下におろしたいという願いを持っている。しかし、Jリーグ以外ではモデル、成功例はあまりない。今後、競技スポーツ課でもモデル事業をすることが必要になるかもしれない。
・ 広域スポーツセンターと総合型地域スポーツクラブが競技力向上で連携するのは、マネジメント(お金をつることも含めて)に期待したいからである。どう収益をあげるかが大切な業務である。マネジメントこそ広域スポーツセンターの本質であろう。


戻る