Q&A    平成16年7月24日()  10:40〜12:10
        講義T
「地域におけるスポーツ行政」
        講師:菊 幸一 氏筑波大学大学院)

Q1.色々と教えていただきありがとうございました。とても勉強になりました。現在、富山県の総合型地域スポーツクラブは各市町村行政主導で運営しているのが現実だと思います。今後は法人化し行政を切りはなしていくにはどのようにすればよいのでしょうか?
A1. 確かに富山県の場合、行政主導での運営が前面に出ている感がありますが、このことが総合型の自立を一概に妨げているというわけではありません。日本の地域スポーツは全体的に行政によって主導されてきた歴史があり、地域住民主体の民間組織やスポーツ産業を主体とした経営は、まさにこれからの課題です。ですから、当初は行政主導でも、これを徐々に民間組織に移していくための行政の進め方とこれを受け止める民間組織の対応の仕方が重要になってきます。この場合、これを推進する富山県の広域スポーツセンターには、民間出身の職員がおり、このマン・パワーを十分に活用することが大切です(また、これにならって、市町村行政レベルでもどのような形であれ、民間出身のエキスパートを配置することが望まれます)。
 次に、民間や住民主導の受け皿は、その組織を法人格として位置づけることだけに焦点化されるのかというとそういうわけでもありません。これまで、法人化のメリットは、当該組織の社会的信頼を高めることによる行政からの委託や補助金の受け皿になりえることが強調されてきました。しかし、既存の法人化された競技スポーツ組織(例えば、
JOCや体協など)をみてもわかるように、組織自体が補助金を介してそれに依存する体質が染み付いてしまい、かえって自立的、主体的に動いていない状況も見られます。
 今後法人化を進めていく場合には、行政と切り離すことだけを考えるのでなく、むしろ結果的に法人化されなくとも実践的な活動実績それ自体によって行政の信頼を得るとともに住民の課題に応え、住民にとって魅力的なクラブづくりをしていこうとする姿勢を持つことが大切だと思います。また、住民側にはどこの市町村にも自治会組織がありますから、そのような自治会組織の課題に適合するクラブづくりを進めることによって、このような既存組織との連携を図っていくことも大切です。生活課題に密着したクラブ活動をめざすことで、それにふさわしい組織体を形成し、その延長線上に法人化することの必要性が見えてくるものと考えられます。そのプロセスで会員の
give and take を冷静に評価し、スポーツ活動自体にpayすることのアレルギーを払拭して、会員を拡大していく戦略を持つことです。

 以上のようなことは、大げさに言えば日本の近代以降「国家100年」の課題といってもよいほどの構造的な改革を意味していますので、くれぐれもあせらずに、むしろ行政とのパートナーシップをさまざまな側面で考えていくことの方が、今のところ現実的だと思われます。

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