スポーツ新風景・第2部 /地域そしてNPO  

平成13年6月21日(土):読売新聞

 子供から高齢者まで多世代を対象にした複数種目の総合型地域スポーツクラブづくりは、各地で熱心に取り組まれている。しかし既存の体制との確執も生まれている。問題点はどこにあるのか、どう解決していけばいいのか、ドイツのクラブ事情にも詳しい日本自由時間スポーツ研究所の佐藤由夫所長(50)に聞いた。(聞き手、大須賀 純)

 ―地域クラブづくりの過程で気にかかる点は?

 「文部科学省がこのソフトに予算をつけてやりましょうと乗り出してくれたことには大賛成ですが、現場の人間には、いきなり天から降ってきたような感じで、『今までのクラブはクラブじゃないんだ』と一部で誤解を招いてしまった面がある。一方で、『スポーツ界の構造改革』とも言われることですから、混乱しながらも動いて新しいものが生まれればいいという見方もある。これまでの延長線という形では、なかなか新しい大きな動きにならないわけですから。ただ、混乱するばかりでは何も出てこないから、解決する糸口をしっかりつくっておかなくては。サポートする必要がありますね。」

 ―フォローの仕方は?

 「地域住民が主体となって十分論じなければ始まらないことなので、行政側がよく理解し、細かくかみくだいて地元におろしていかないと。地元のクラブ、団体、体協やPTAなどとの連携をどうするか、調整していかなくてはいけない。地域の特色を生かしたクラブづくりの大切さを理解してもらうと同時に、主体となって動く人を勇気づけることも必要ですね」

 ―住民レベルで考えていくべきことは?

 「これは新しいスポーツライフの提案です。まず地域スポーツクラブとは何なのか、多種目・多世代でなぜやるのか、本当の価値とは何かを考えていかないと。民間のフィットネスクラブに入りたい人、サッカー一筋で強くなりたい人、いろいろいるわけですから、そうした議論の中で総合型への賛同者が出て動いてこそ、いいクラブづくりになる。どこに入るかは地域住民一人ひとりに選ぶ権利があるのですから」

 ―評価はずっと先ですね。

 「ドイツだって若者中心だったクラブが、会員が結婚して子供が出来て、50年たったら3世代になり、体操クラブだったのが、バレーボールもバドミントンもやりたいと増えていって、100年かけて多種目になったような経緯がある。日本でも、50年、100年たって全国に総合型クラブが根付いていれば、21世紀の切り札としていい政策だったということになるでしょう。そのためにも既存の地域スポーツクラブの更なる活性化も必要ですし、総合型地域スポーツクラブの新たな出発が今、求められているのです」

 

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