県内スポーツ界 〜とやま国体の‘遺産‘〜  /広がる中高一貫指導 /強化・振興へ着々

平成15年1月5日(日):北日本新聞

 昨年の高知国体。県勢は天皇杯が19位、皇后杯は18位に終わった。全開より順位を落としたものの少年勢が活躍し、底辺の広がりを感じさせた。一方で企業がスポーツ界から相次いで撤退し、選手の受け皿の弱体化も懸念される。企業に代わる新しい試みとして総合型地域スポーツクラブという動きが県内各地で出始めてきた。同時に、きらりんピック以降、障害者スポーツ界も大きく変わった。2000年から県内のアマチュアスポーツはどんな変ぼうを遂げ、今後どこに向かうのか。今と未来を検証した。

◇ジュニア選手の育成

 高知国体では少年の活躍が目立った。とやま国体を契機にジュニア育成が強化され、競技の将来に大きな影響を与えそうだ。
 とやま国体でアーチェリー会場となった宇奈月町。宇奈月中には国体を契機にアーチェリー部がつくられた。国体時にひんぱんに開いたスポーツ教室は下火だが、学校部活動の人数は増加。卒業生は泊高や魚津工高で活躍する。
 大会は小中高生、成年が同じ場所で開かれるため、ほかの中学や他世代との交流もできる。さらに充実した指導を目指して宇奈月中は今後、泊高との合同練習も考えている。
 県体協の大代忠男専務理事は「競技を定着させるための手段は、合同部活動と小中高一貫指導の2つが考えられる」と言う。
 昨年12月、県内フェンシングクラブが一同に会して合同合宿が開かれた。一貫指導体制の確立を目指し、年齢の枠を越えて練習する。県フェンシング協会としては初の試みだ。
 県内にあるフェンシングクラブは富山、婦中、高岡、砺波に1つずつ。全国大会で優勝者を出すなど活躍している。
 合宿には小学生から国体選手まで総勢48人が参加。その中には高知国体で団体7位入賞した県選抜の1人、高野真次さん(24)=とうざわ印刷=の姿もあった。自らも次の国体に向け練習する中で、ジュニアの指導にも積極的に参加している。
 高野さんは「僕は半分が選手、半分は指導者みたいなもの。僕自身クラブで育った。小さな子どもたちを教えるのは自然な流れ」と話す。
 6年、3年ごとに所属が変わる学校の部活動と違い、クラブは長く続けられる。
 大代専務理事は「今後は全国大会も学校単位でなく学校、クラブの混合の大会に衣替えしていくべきではないか」と提案する。
 子どもの数は、昭和33年の富山国体時に比べ大きく減った。ジュニアを育成し、競技を地域に根付かせるためには新しい試みがさらに重要になってくる。

◇「富山型」のクラブつくろう  「受け皿」は地域主導へ

 昨年10月、国内ボート界をけん引してきたインテック(富山市牛島新町)がボート部の休部を発表した。
 企業は、社会人となったアスリートたちが競技を続ける受け皿となってきた。だが、国体終了後、不況を背景に、いくつもの企業チームが休部、あるいは廃部の道をたどった。新たな受け皿として注目され始めたのが「総合型地域スポーツクラブ」だ。
 休部したインテックは、県ボート協会が中心となって八尾町につくった総合型地域スポーツクラブ「JINZU SPORTS CLUB(神通スポーツクラブ)」を支援する形で協力する。とやま国体の会場を拠点にした同様の動きは小矢部のホッケー、新湊のヨット、黒部のバレーボールにも見られる
 県は平成13年、国体後の県内スポーツのステップアップを目指し、新世紀スポーツプランを策定。県のスポーツクラブ構想は、欧州で一般的なクラブ運営を参考にしている。
 県広域スポーツセンターの野原浩昭さんは「(欧州の形を)そのまま持ち込むのではなく、富山の地域性に応じた取り入れ方が必要」と話す。
 同センターはクラブづくりの核となるスポーツマネジャーの育成の講習会を開くなど、総合型地域スポーツクラブの普及に力を注ぐ。野原さんは「クラブづくりにはまず、スポーツへの住民の意識を把握することが大切」とアドバイスする。
 一方、クラブ運営で、最も大きな問題は運営資金だ。企業スポーツだと遠征費や合宿費などは企業が丸抱えすることがほとんどだが、年間何千万円とかかる運営資金を、クラブ会費でまかなうことは不可能に近い。
 解決策のヒントは欧州のサッカークラブにある。「クラブは市民のもの」という意識が強く市民がクラブに出資することは珍しくない。企業も、スポンサーとして一部を負担することも多い。市民、企業、行政の三位一体となった運営が必要となる。

 

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