社説 サッカーくじ これではレッドカードだ

                                                      平成16年12月4日(土):朝日新聞

 サッカーくじ事業が2年連続の赤字になりそうだ。始めた目的であるスポーツへの助成はできず、受け取りにこなかった当選金をかき集めて体裁を取り繕う。企業ならば経営破綻だ。

 売上金は、全国で販売した01年の604億円から408億円、202億円と減り続け、今年は155億円にまで落ち込んだ。それに応じても助成金も58億円、26億円と減っていった。赤字に転落した03年は、受取人のいない当選金や経費削減で6億円を工面した。今年はそれも、1億〜2億円をしぼり出すのがやっと。

 昨年は業務をまかせている銀行に委託金を支払えず、70億円の支払いを待ってもらっている。今年も同じことをせざるをえない。

 朝日新聞は社説で、サッカーくじを始めることに反対してきた。子どもたちに人気の高いサッカーをギャンブルの対象にする。教育を担当する文部科学省が胴元になる。スポーツの予算が足りないからといって、安易にギャンブルに飛びつく。それらが疑問だったからだ。

 98年に国会で法律が成立した時には、「せめて、売り上げがスポーツの振興にとって本当に有益な分野に使われるよう求めたい」と主張した。

 ところが、現実には助成金の配り先を選ぶどころか配るべき金がない。これではサッカーくじを続ける意味がない。

 サッカーくじは超党派のスポーツ議員連盟が旗振り役だった。試合の結果を予想し、投票券を買うシステムは競馬や競輪と同じだ。議員連盟や当時の文部省は、年間の売り上げが1800億円2000億円にのぼり、助成金は420億円になると試算した。

 それが完全にはずれたのはなぜか。

 13試合の勝敗を予想しなければならない。的中確立は160万分の1で、宝くじ並みだ。あれこれ知恵を絞ったあげく、いざ買おうとすると、試合の前日までしかうってくれない。当たっても当選金の受け取りには指定の信用金庫まで足を運ばなければならない。

 手間の割りに魅力が少ない。そう考えた文科省は当たりやすいくじを売り出し、19歳以上であることを確かめた上でインターネットでも販売する方針を決めた。

 しかし、それで急に人気が高まるとは思えない。

 日本はギャンブルだらけだ。数多くの公営ギャンブルに加え、パチンコもある。そんな中で、サッカーくじは最初こそ物珍しかったが、熱気がさめると、繰り返し買う気になれなくなった。それが実情ではないか。

 政治家が根拠のはっきりしない数字で夢をふりまき、お役所仕事で運営してきた。何度も見てきた失敗と同じである。赤字が出れば、最終的には税金で穴埋めすることになりかねない。

 法律では施行から7年後にあり方を見直すことになっている。それが来年の11月だ。傷が広がらないうちにやめることを考えた方がいい。

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