Jリーグ改革の13年目 目覚める「都市型」

                                                     平成16年12月10日(金):読売新聞

 チャンピオンシップを直前に控えた先月29日、横浜Mはクラブ施設などを横浜市の「みなとみらい21地区」に移転すると発表した。4万5600平方bの敷地に天然芝、人工芝それぞれ2面づつのサッカーグラウンドを有し、トップチームから下部組織、フロントとすべてのチーム機能が集中。チームグッズを扱う店舗などもあり、欧州のビッグクラブにも肩を並べそうな施設だ。

 左伴繁雄社長は、今季当初から「世界規格」を掲げてきた。J1残留争いをしていた2001年からの強化が実り、岡田監督のもとで昨季は前・後期を完全制覇。世界クラブ選手権につながるアジアチャンピオンズリーグの出場権を手にし、「アジア」から「世界」への道筋を見据えての発言だ。だが、施設面に目を向けると、フロントとチーム練習場が2ヶ所に分散し、天然芝のグラウンドは1面だけと、プロチームとしてはお寒い限りだった。

 Jリーグ各クラブのホームタウンを比較すると、「都市型」の横浜Mなどに対し、いわゆる「地方型」の鹿島や磐田が、より早く黄金時代を築き上げた。Jリーグの藤口光紀理事は「鹿島や磐田は環境作りが早かった。都市となると、お金や時間がかかるのかもしれない」と指摘する。横浜Mの移転は、まさにチーム強化に不可欠な環境作りというわけだ。

 移転は、親会社の日産自動車が同地区に移転することに伴うもので、2005年4月から建設を開始。2006年3月から一部使用を始める予定だ。この移転は、トップチームの強化と若手育成のためのインフラ整備にとどまらない。地域密着を進める拠点にしたい、という思惑もある。「「350万人の人口を抱える大都市のアドバンテージを生かしたい」と左伴社長。大都市の人口を活用していくことが、クラブ運営基盤を安定させチーム強化にもつながる、という考えだ。

 浦和は総合スポーツクラブ「レッズランド」を来年1月に着工する。サッカー場や野球場、テニスコートなどを備え、幅広い年齢層がスポーツを楽しめる欧州型のスポーツクラブで「テニスをして、シャワーで汗を流して、埼玉スタジアムにレッズを応援しに行く。地域のみなさんがスポーツを楽しめるようにしたい」と犬飼基昭社長。浦和市と大宮市、与野市との合併後、人口100万人を超える政令指定都市となったさいたま市を「市場」として追求していけば、大規模なクラブの運営が可能になる。「全国区」を目指すわけではないが、大都市の利点を生かそうというのは横浜Mと同様だ。

 横浜Mと浦和が戦うチャンピオンシップは、そうした「都市型」チームの台頭を示してしるのだろうか?

 「日本にはまだそこまでの歴史はなく、まだまだそういった都市型クラブが強くなってきたとは言えない」と藤口理事。

 現状では、新潟が今季の観客動員で1位になったように、「都市型」チームがその利点を生かし切っているとは言い難い。地域密着など「地方型」の良さを生かした上での、あらたな形の環境作りが求められそうだ。(野崎 慰)

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