存亡懸けたサッカーくじ
                                                     平成18年2月26日(日)北日本新聞

直営方式で再出発 運営刷新もハードル高く

 画期的なスポーツ振興財源として期待されながら売り上げの低迷が続くサッカーくじが、仕切り直しをして6年目を迎える。運営する独立行政法人「日本スポーツ振興センター」が経費削減のため、りそな銀行との委託契約を終え、直営方式に体制を刷新。新くじ「ミニトト」の販売やコンビニエンスストアでの一般販売などの改革で売り上げの劇的回復を狙う。民営化の流れの中、あえて「官」主導での再出発。存亡を懸けた今季のくじは、25日の販売開始でスタートした。

▽売り上げ急落
 17日、東京都内で行われたセンター主催のパーティー。小坂憲次文科相は不振が続いたトリノ五輪を引き合いに「選手一人一人は一生懸命努力している。日ごろの練習体制や支援体制をしっかりすることが国を挙げてのメダル獲得につながる」と、スポーツ振興財源としてのくじの必要性を訴えた。
 売り上げは全国発売開始の2001年度は約642億円に達したが、その後は急落。05年度はここまで約127億円で、ミニトトなどでこの3月にどれだけ積み上げられるか。スポーツ界への還元も初年度は約58億円だったが、06年度はわずか1億円強にまで落ち込む。

▽重い累積債務
 センターの高杉重夫理事によると、直営方式で損益分岐点は昨年までの421億円から200億円台半ばに下がる。約300億円の売り上げで、10億円程度を助成できるという。だが、そのための初期投資150億円弱に加え、約154億円の累積債務が重くのしかかる。06年度からの第2期事業計画の7年間、約10億円の助成を出しながら債務を返済するには、年間最低340億円程度の売り上げが必要。ハードルは高い。
 センターのアンケートでは、くじを買わない理由の上位には「当たる確立が低い」が常に顔を出す。ミニトトは5試合の勝ち、分け、負けを予想する方式で、当選確率は243分の1.これまでで最も当たりやすい新くじで購入者の増加を狙う。
 もう一つの柱はコンビニでの一般販売。これまでは青少年への悪影響を考慮して会員限定だったが、19歳以上であれば誰でも買える。販売店網は一気に約1万7100店に拡大。購入期限も試合当日まで引き延ばす。
 センターは「当たらない、買える場所が少なくて不便との認識をどう変えるか。そのスピードが鍵」と期待を込める。コンビニでの当せん金払い戻しも、早ければ今夏までに実現したい意向だ。

▽廃止論も
 くじの導入時にギャンブル批判を避けて盛り込まれた規制は、ほぼ撤退された。関係者は「やるべきことは全てやった。これで単年度赤字になるようでは廃止論も出てくる」と”背水の陣”を口にする。関心の高いワールドカップ(W杯)や他の競技を対象としたくじ販売には法改正が必要で、現時点で検討材料ではない。しかし、くじの旗振り役だったスポーツ審議連盟には、起死回生策としてW杯くじ積極的な議員もいるという。関係者は「それに手を出すのは劇薬みたいなもの。売れれば成功間違いなしだが…」と声を潜めた。

 

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