あしたのかたち22 スポーツ21世紀  地域力12
                                                                                                                      平成17年12月17日(土)毎日新聞

国立大がスポーツクラブ運営

 愛媛大学が来春から全国の国立大学では初めて総合型地域スポーツクラブの運営に乗り出す。教育学部保険体育科による地域貢献事業で、クラブマネジャーを務める堺憲賢治教授は「地域の支持がなければ、地方の大学は生き残れない」と話す。たとえば、教育学部が廃止対象に上がった時、クラブを通して住民とつながっていれば「地域には不可欠な存在」として存続運動が起きる可能性もあるだろう。

 最大の課題は財源確保。昨年度、日本体育協会の総合型地域スポーツクラブ育成事業に指定され、300万円、今年度は255万円の補助金を受けた。来年度以降は3分の2を会費収入、残りをイベント収入や企業からの協賛金で賄う。協賛金について、堺教授は「1万円の小口でもいい。スポーツ教室などを開催する体育館に、社名やロゴなどが入った看板などを設置することで出資企業にメリットを提供したい」と話す。

 クラブ会員は当初、学生や松山市民を中心に100人で始め、年間100人ずつ増やしていく。10年後には会員1000人、予算規模1500万円に育て上げる、という構想だ。「モデルケースがなく、『プロジェクトX』みたいなもの。うちがトップランナーになりたい」と堺教授は言う。

 基本理念として、子どもの健全育成、大人の健康・体力作りに加え、トップアスリートの育成・強化とシンクタンク機能を掲げている。2017年の開催が決まっている愛媛国体に代表選手・チームを送り込むほか、指導者育成プログラムの提供などを通して県内各市町村におけるクラブ作りを支援する。

 今年度は保険体育課の学生120人を総務、イベント、広報、交流、情報などのグループに振り分け、スポーツ教室などを開催している。学生参加のクラブ運営を07年度からカリキュラムに組み込むことが決まっている。実践的な指導力を磨くことは、教育実習前のトレーニングにもなる。

 「クラブができれば教育学部が変わり、愛媛大学が変わり、松山市が変わり、愛媛県が変わる。やりがいがある」と堺教授。クラブ作りは熱い思いに支えられている。

 

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