あしたのかたち23 スポーツ21世紀 地域力L
                                                     平成17年12月31日(土)毎日新聞

育て「ファミリー」

 大同工大ハンドボール部の佐藤壮一郎監督には夢がある。「大学、地域、企業が密着したスポーツが盛んな町を作りたい」。ハンドを幹に据えた総合型クラブをイメージする。今月上旬、大学のある名古屋市南区と共催した地域連携講座「我が子をトップアスリートへ」もその一環で、昨年は小学生を対象にしたハンド教室を2度開催した。

 ハンド部は日本リーグの強豪で、名古屋に本拠地を置く大同特殊鋼フェニックスで活躍した佐藤氏を監督に迎えて2000年に誕生した。東海学生リーグの4部からスタートして03年春季リーグで1部初優勝を果たした。井上茂樹副学長は「学生の多様化に伴い、クラブ活動を活性化したかった。文武両道を目指しつつ、10年以内にオリンピック選手を出すことが目標」と話す。1期生の主将は大同特殊鋼に入り、ドイツのプロリーグに挑戦している卒業生もいる。

 少しずつ、夢は、かたちになりつつある。大同高ハンド部の監督は大学の1期生。今春には女子が活動を開始した。南区に隣接する東海市に拠点を置く小中学生チームの東海ハンドボールスクールは99年4月、大同特殊鋼のOBが中心になって発足した。最近は佐藤監督が指導したスクール生が同大高へ進学するようになりつつある。一貫指導システムの構築だ。

 地域に開かれたチーム作りは、日本ハンドボール協会が推進する普及プログラム「プロジェクト21(構造改革)」とも合致する。地域と共存・連携しながら、小学生からマスターズまでを包括した「ファミリーチーム」の設立を図る。大西武三専務理事は「強くなることだけを考えるのではなく、企業や大学の施設を普及の拠点として地域に開放して、仲間を増やしていくことが大事。大同の試みは、一つのモデルになる」と評価する。

 スポーツ推薦で入学して来た学生が文武両道を実践するための環境作りなど、「フェニックスファミリー」を起動に乗せるためには課題もある。「Jリーグでも10年かかった」と佐藤監督。理念を掲げ、着実に歩みを進めていくつもりだ。

 

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