挑戦 新話 根付け!地域スポーツ
                                                      平成17年10月6日(木)読売新聞

 「パス、パス!」「逆サイド、マークにつけ」
 さいたま市桜区の荒川河川敷。天然芝のフットサルコートで、若者らが熱戦を繰り広げていた。「やっぱり芝のグラウンドはいいですねぇ。」汗の下から笑顔がのぞく。

 14万平方メートルの敷地に、サッカー場やテニスコート、野球場計約20面が並ぶ「レッズランド」。欧州型のスポーツクラブを目指し、今年7月に仮オープンした。

 運営するのは、同市をホームタウンにするサッカー・J1リーグの浦和レッズ。現在は施設の有料開放が中心だが、本格営業の2007年までに複合運動施設として整備を進める計画だ。プロとアマ、さらに老若男女の交流の場を目指す。レッズのユースチームなどの練習拠点も兼ねる。

 「設立の背景には、スポーツの生活密着を掲げる『Jリーグ百年構想』があるんです」。レッズランドの総括責任者、白戸秀和さん(40)は説明する。レッズは1992年の発足時から総合スポーツクラブ構想を抱いてきたが、元サッカー選手でもある犬飼基昭さん(63)が2002年にレッズの社長に就任した後、構想を一気に具体化させた。

 犬飼社長は、三菱自動車工業の欧州部長やオランダの現地法人社長を歴任した経験から、欧州の地域スポーツクラブに着目した。欧州のクラブは大人も子どももマラソンやサッカーを楽しみ汗を流した後は食事をするなど憩いの場になっている。子どもが礼儀を学ぶ場でもある。犬飼社長は日本版地域密着型クラブの設立を決めた。
 ただ、事業費は05年度だけで約2億円。07年度までの総額では10数億円に達する見込みで、巨額投資に慎重論もあった。しかし、埼玉は”サッカー王国”。犬飼社長は「採算はとれる」と判断した。

 犬飼社長の読み通り、 7月締め切りの1次会員募集には、定員(500人)の2倍以上の応募があり、枠を約750名に拡大。07年度には会員を7000人に増やし、黒字転換を狙う。
 今後は、世代別のチーム対抗戦など、会員の交流企画にも力を入れる予定。ラグビー場や飲食施設も建設する。
 また、ランド内に作った農場でJAグループさいたまがサツマイモ苗の「オーナー制度」を実施。さらに、スポーツマネジメント(経営管理)の研究で埼玉大と提携、埼大通り商店会が「レッズランド商店会」への名称変更を検討するなど、”地域融合”も進む。

 7月17日オープニングイベントには、趣旨に賛同したラグビー元日本代表の平尾誠二さんや元ヤクルトスワローズの池山隆寛さんらによる教室が開催され、約2800人の市民でにぎわった。元プロテニス選手の伊達公子さんが企画するテニス教室も今月2日に始まった。来年4月には、レッズOBによるサッカースクールが開講する。「汗を流してもらうだけでなく公民館とスポーツバーを合せたような施設にできれば。浦和レッズと両輪で地域を盛り上げたい」。白戸さんは夢を語った。

                                                       (宮崎健雄)

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