”官業体質”から脱却できるのか
                                                        平成18年3月6日(月)読売新聞

 これで、本当に債権ができるのだろうか。

 売り上げ低迷が続くサッカーくじを立て直そうと、独立行政法人・日本スポーツ振興センターが、新方式によるくじの発売を始めた。

 従来、販売から払い戻しまで、センターが一切の業務を金融機関に丸投げしていたのを直営に改め、経費節減を図る。的中率を上げ、人気回復とファンの拡大を目指す、という。

 サッカーくじは、スタートした2001年度に643億円を売り上げたが、その後は減少する一方だ。05年度は初年度の4分の1以下に落ち込む見通しだ。

 選手強化やグラウンド整備など、スポーツ振興に、初年度は58億円を助成したが、05年度は3億円にも届かない。

 売上額にかかわらず、金融機関に年間163億円の契約料を支払う仕組みで、累積債務は約220億円にも上る。今後も売り上げが伸びなければ、国費で穴埋めする事態も想定される。

 経営不振の最大の原因は、金融機関任せで、センター自身が営業努力をしてこなかったことだ。センターは、文部科学省からの天下りOBや出向者が主要ポストを占める。これまでは、お役所的感覚を引きずり、積極的な営業努力を求めること自体が、無理な注文だ。

 今回の方式では、システムの構築やくじの企画、販売網拡大など、実務の大部分は、一定の契約量で新たに契約したコンピューター会社が請け負う。経費節減などの効果はあっても、”丸投げ”の構図自体は、そう大きく変わらない。

 13試合の結果を予想するくじは当たりにくい、と不評だった。今回は5試合に絞ったくじも導入した。13試合予想の1等の当選金も増やした。試合前日までだった購入の締切りを開始1時間前までに延ばすなど、販売方法も改善した。

 だが、そっぽを向いてしまったファンには、目先を変えただけにしか見えないのではないか。

 センターの資産では、黒字を出すのに必要な売り上げは、以前は421億円だったが、直営によって約250億円になるという。だが、資産の根拠となる運営費の内訳や負債の返済計画などの数字は明らかにされていない。

 根拠もはっきりしないのでは、新方式のくじ発売で本当に経営を立て直すことができるかどうか、疑問を持たれても仕方あるまい。

 大事なのは、センターの経営陣の経営責任を明確にし、”官業体質”から脱却することだ。同じ失敗を繰り返すのなら、くじの廃止すら視野に入ってくる。

 

戻る