社説 体育の日 子どもをスポーツに連れてって
                                                      平成17年10月10日(日)読売新聞

 休日。ゴルフに出かけようというお父さん、「きょうはドライブ」というご家族にも、ぜひ知っておいていただきたい。
 子どもの体力や運動能力が長期低落傾向にあり、「子どもは大人の『被害者』だ」と指摘する専門家すらいる、ということを。

 恒例の「体力・運動能力調査」の結果が、文部科学省から公表された。
 20歳以上の成人の体力・運動能力は、長期的には「緩やかな向上傾向か、横ばい傾向」にある。30年前と比べ、敏捷性を測る「反復横とび」では明らかな向上が見られた。「握力」も、女性は横ばいだが男性は緩やかな向上傾向にある。
 「健康のために運動する」ことの意義が、中高年層に理解され始めた。余暇を利用するなどし、実際に身体を動かすようになった。その効果が表れ出したのではないか。調査に当たった青木純一郎・順天堂大副学長の分析だ。

 国が2000年に策定した「スポーツ振興基本計画」も、できるだけ早期に、成人の2人に1人が週1回以上スポーツを楽しめるような「生涯スポーツ社会」の実現を目指している。
 心配なのは子どもたちだ。50メートル走、立ち幅とび、ソフトボール投げ、握力などは1980年代半ばをピークに低下傾向が続いている。とりわけ小学校低学年は低落の度合いが大きい。立ち幅とびでは、ここ20年で記録が平均10センチ以上も落ちてしまい、昨年度、7歳児は男女とも過去最低値を記録した。
 「生まれた時から車に乗せてもらう生活が原因ではないか。子どもは親の『被害者』だ」と青木副学長は言う。身体を動かす遊びが徐々に減っていることも原因に挙げられる。文科省は、生活習慣との関連についても調査を始めている。

 大人と子どもが一緒にスポーツをする環境づくりが必要だろう。国内には約2100の「総合型地域スポーツクラブ」がある。学校体育館、地域のスポーツセンターなどを利用して、住民が自主的・主体的に運営する。子どもから大人まで、様々なスポーツをそれぞれのレベルに合せて楽しむことができる。

 福島県の「NPO法人双葉ふれあいクラブ」は、日常的にスポーツを楽しむ21のサークルと、競技志向の9つのスクールを持ち、会員は700人を超す。学校や仕事からの帰り、休日などに地域住民が気軽に訪れ、いつも会場は盛況だ。
 だが、全国的には、どれほど地域クラブが住民に認知されているだろう。「知らない」のでは、出かけようがない。
 体育の日。のびのび体を動かせる所へ子どもを連れて行ってはどうだろう。

 

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