家庭・学校・地域で心の傷負う子守る スポーツクラブとも連携 
 スコットランドの団体 チルドレン・ファースト
                                                   平成17年5月19日(木)北陸中日新聞

 虐待防止の会議で報告
 120年の歴史を持つ、英国・スコットランドの児童虐待防止団体「チルドレン・ファースト」の代表者らが14日、愛・地球博(愛知万博)の会場内で行われた。虐待防止の会議に参加し、子どもを守る活動を報告した。学校での被虐待児への支援、スポーツクラブでの子どもの保護など、幅広い取り組みに、日本の関係者から感嘆の声が上がっていた。  (安藤 明夫)

 チルドレン・ファーストは、愛・地球博の市民参加プロジェクト「地球市民村」に、愛知県の市民団体「子どもの虐待防止ネットワーク・あいち」のパートナーとして参加。5月の1ヵ月間、「子どもと話そう館」を運営している。14日の会議は、全国の虐待防止団体の集まりで、26団体が参加した。
 最高責任者のマーガレット・マッカイさんら5人がチルドレン・ファーストの取り組みを紹介。参加者が感銘を受けたのは、同団体の活動が政策決定に力を及ぼしていること、家庭、学校、地域の3つの部署で、きめ細かく子どものサポートに取り組んでいることだった。

 マッカイさんによれば、スコットランドでは、結婚する夫婦の3分の1が離婚。人口500万人の国で、ひとり親家庭の子どもが28万人いる。チルドレン・ファーストは「子どもを守るのは、すべて人の責任」として社会啓発活動を続けており、昨年には、その成果として「子どもの権利擁護コミッショナー」の制度が同国に設けられた。

 コミッショナーは子どもの代弁者として議会などに提言する権限を持ち、その意見を機会が尊重しなければならないことが義務づけられているという。
 「家庭のプログラム」として重要なのは、虐待を受けた子や家族の支援。担当者のジェーン・ウェルシュさんは「別居、離婚に至る両親の姿を見せられる子は、心の傷を負いやすい。親のDV(配偶者間暴力)やアルコール・麻薬問題でも子どもが受ける影響は深刻だ」と話し、学校や保険所など機関とネットワークをくんで、子どもの支援、権利擁護に取り組んでいることを説明した。親の相談に乗る「ペアレンツライン」にも年間約1万件の電話相談が寄せられるという。

 虐待を受けている子は、心の傷を抱え、非行などにつながることもある。学校での活動として、問題行動を起こす小学生の子にグループワークを行い「虐待、離婚、暴力の問題をその子なりに理解してもらえるようにしている」オードリー・フレミングさん。問題を抱えた子どもたちが自ら目標を立て、努力できるようにして「自尊心向上のお手伝い」をするのが大切な役割だという。

 地域のスポーツクラブでの「子どもの保護活動」も注目を集めた。キャスリン・マクルナルティさんによれば、クラブのコーチを尊敬している子は、虐待問題などの相談をすることも多く、コーチが適切な対応をできることが大切。このため、スポーツクラブの全国組織と連携し、この2年間で約2000人のコーチへの研修を実施したという。

 クラブ内での体罰などの問題もあるため、子どもがクラブに入る際には親が、子どもへの指導のガイドラインはあるか、スタッフの犯罪歴の有無は確認しているか、活動への親の参加は歓迎しているかを質問して”安全確認”をするように勤めている。

 日本で虐待防止に取り組むNPOの多くは設立10年未満で、活動も電話相談などに限られがち。参加した関係者たちは「活動を拡大し、柔軟な取り組みをしていくことが大切だと痛感した」と話していた。

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