社説 指定管理者制度 地域の活性化に生かせるか
                                                       平成17年9月8日(木)読売新聞

 音楽ホールや美術館、体育館など地方自治体の施設の管理運営に、企業や非営利組織(NPO)の参入を認める指定管理者制度の導入が進んでいる。
 行政のコスト削減を進めると共に、多様化する住民のニーズに対応することを狙った制度である。

 経済財政諮問会議の骨太方針で提起され、2003年9月の地方自治法改正で実現した。移行期間は3年間で、施設の運営を自治体の直営にするか、指定管理者に委ねるか、来年9月までに選択しなければならない。

 島根県立美術館では、東京のサントリー美術館のサービス部門などを請け負ってきた企業の関連会社が、今年4月から指定管理者として管理運営にあたっている。3月まで運営を受託していた県の外郭団体、島根県文化振興財団も指定管理者に応募したが、選考で敗れた。
 年間委託額を島根県は3億1060万円としたが、この企業は2億5600万円を提示した。建物の維持管理を別の業者と再契約し、また曜日ごとに入場者数を予測して人員配置をした。
 こうした工夫が、コスト削減につながっている。企画展のテープカットの希望者を住民から募集するなどのアイデアも好評を博している。

 山梨県山中湖村では、新設の図書館、山中湖情報創造館の指定管理者に県内のNPOを選定した。住民の参加を募り、東京の書店を訪ねる”選書ツアー”などが話題を呼んでいる。
 民間委託を進めることで、地域の活性化にもつながるだろう。

 東京都も、東京文化会館江戸東京博物館などの主要文化施設の指定管理者を公募する方針を決めた。

 しかし、課題も少なくない。
 企業の側からは、指定管理者の選定の際の評価基準が分からない、という不満の声も上がっている。自治体は、評価基準を明らかにし、指定管理者の決定後は選定の経緯を公表するなど、透明性を確保していくことが必要だろう。

 文化施設の場合、運営のノウハウを持つ民間企業は、限られている。採算が取れないまま、委託期間が過ぎて撤退する企業もあるだろう。管理者が頻繁に代われば、長期ビジョンも描けない。
 既存の公的財団を解散した結果、管理運営の受け皿を失う恐れもある。施設の集客力に不安がある場合、既存の公的財団を指定管理者として残し、運営の効率化をはかる選択もあり得る。

 地域の現状を踏まえ、指定管理者制度をどのような形で定着させていくか。行政の手腕も問われている。

 

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