スクープ真相深層 県内 新たなスポーツ大会創設
                                                      平成19年3月19日(月)北日本新聞

5月、初の総合開会式

 従来の県民体育大会など県内のスポーツ3大会を一つの大きな大会として統合する「新たなスポーツ大会(仮称)」について、県やスポーツ団体関係者らでつくる県スポーツ振興審議会は、平成21年度からの本格的実施を目指し、19年度から段階的に移行していく方針だ。5月には初の試みとなる1500−2000人規模の総合開会式も開く予定。普及と強化を旗印にさまざまな方策を試してきた県スポーツ界。新大会の創設は変革の柱となりうる存在だ。変わりゆく県内スポーツ大会の現状を追った。

普及と強化底上げ

 新大会の骨格は県体、県民スポーツ・レクリエーション祭、スポーツ少年団交流大会を、大きな一つの大会とし、▽全国大会などの予選を兼ねたチャンピオンスポーツ部門▽合併後の新市町村の代表による地域対抗スポーツ部門▽年代別の参加枠を拡充する交流スポーツ部門▽新たなスポーツ人口の掘り起こしを図る体験スポーツ部門の4部門に再編することだ。

県民総ぐるみで
 大会重複による選手や役員の負担軽減、ジュニア、シニア層のスポーツ参加促進などが図られ、競技力向上と地域スポーツ振興の両面で成果が期待される。
 また、運営には会場整備などを手伝うボランティアも募集する予定で、県民総ぐるみで支える一大スポーツ大会としたい考えだ。
 同審議会事務局を努める県教委スポーツ課の横嶋信生課長は「巨大な一つの大会を実施し、より多くの人が大会に参加していると広く知ってもらうことでアスリート同士はもちろん、県民の一体感、スポーツ振興に対する意識を高めるのが最大の狙い」と話す。

見学者受け入れも
 総合開会式の実施アイディアもその一環で、各競技団体や各市町村体協、生涯スポーツ協議会、スポーツ少年団などから1500−2000人が参加。各団体ごとにプラカードと旗を入場行進させるほか、一般見学者の入場も受け入れる方向で、県レベルの大会としてはこれまでにない規模の開会式とする予定だ。
 19年度は総合開会式を開く以外は従来通りの実施内容で各競技大会を行うが、20年度からは構想通り4部門に分けた形で実施。並行して開催要領の検討や検証を行い、関係機関と課題の調整を行った上で21年度の本格 移行につなげる。

スポーツ参加促す
 横嶋課長は「競技をやる人だけの大会ではいけない。国体のように一般の県民が見て、支える大会をイメージしている。さらには見ていた人が実際に参加するようになるなど、新大会をきっかけに県全体のスポーツへの意識が高まってくれれば。まずは新大会を実施について多くの県民の皆さんにも 意見を寄せてほしい」と話している。

 

地域総合型クラブ続々 

普及率全国トップ級
 
2000年とやま国体後、企業スポーツの撤退が相次ぐ中、急速に県内スポーツ界の軸足は企業から地域へシフトした。結果的にこのことが県民の中でのスポーツ普及を促す結果となった。
 大きな動きとして挙げられるのが地域総合型スポーツクラブの創設ラッシュだ。県体協は県総合体育センターと連携し、各地のクラブ創設と育成を支援。県体協によると、現在県内には53クラブ、総会員数は3万4千人に上る。旧35市町村で考えても全市町村にクラブが創設されたことになり、普及率は全国トップクラス。今後は自治体の補助を受けず、一つの団体として自主運営できる体制を整えていけるかがポイントとなってくる。

 県体協が昨年から実施した「未来のアスリート発掘事業」や「元気とやまスポーツ道場」は運動能力に優れた児童、生徒を対象に、国内トップ選手を招くなど専門的な指導で早い段階から強化・育成する試みで、参加者からは「とても成長できたと感じた」「トップ選手に教えてもらい感激した」などの声が出ている。

 また県内小学校で導入されている「チャレンジ3015」事業は鉄棒や縄跳びなど、さまざまな運動をポイント換算。年間合計を立山の標高と同じ3015点を目指す試みで、昭和59年から実施している。平成17年度は76.4%の高い達成率を残し、関係者はスポーツ意識の普及に手応えをつかんでいる。

 県体協普及課の笹川正範課長は「総合型スポーツクラブ普及や各種事業が成果を残していることを考えれば、スポーツを地域で支える下地はできつつあると言えるのではないか」と強調。「新大会は総合型に所属する選手にも門戸が開かれる見込みで、さらなる競技の普及を図りたい」と話している。

 

競技団体に期待と不安

競技アピールする好機
 新大会について、県内各種競技団体関係者は「詳細が明示されておらず、現在は概要を確認している 最中」と口をそろえるが、構想の基本理念に共鳴する声が多い。
 県スポレク祭には太極拳やソフトバレーボール、フォークダンスなど、比較的なじみの薄い競技が行われる。同祭を運営する県生涯スポーツ協議会の扇一兵治事務局長は「競技をアピールする良いチャンス」と話す。新大会構想には体験スポーツ部門が設けられていることにもふれ「競技スポーツだけでなく、さまざまな人にレクリエーション型スポーツを体験してもらいたい」と期待を寄せる。
 県陸上競技協会の荒木正志理事長も「総合開会式をはじめ、ミニ国体のようなコンセプトで大々的に開催すれば県民も大いに盛り上がるのでは」と構想を評価する。
 今年から中学生年代の新たなリーグを実施する県サッカー協会の貫江和夫専務理事も「日程が過密化しないかが心配だ」とする一方で「各競技団体が一つになって富山を盛り上げようという県側の考えは理解できる」と話す。
 新大会運営については各協会内や県側との調整はこれから本格化する。各団体からは「早く具体的な開催日程案やプランを明示して欲しい」との声も多い。荒木理事長は「各方面と調整を重ね、良い方向に向かうよう努力したい」としている。
 また、サッカー協会をはじめとするほとんどの競技団体は日本協会の強化・普及プログラムに沿って各種運営していかなければならない側面がある。貫江専務理事は「新大会は協会の方針と一致した方向性の大会となるよう働きかけたい」と語る。

日程や運営面など懸念
 構想ではチャンピオンスポーツ部門は各競技で「富山県ナンバーワン」を決める大会とするなど、大まかな枠組みは固まりつつあるものの、従来の大会のどの部門、どの種別を新たな4つの枠組みの中にどう組み込むかなどの詳細については現在も調整が続く。
 県体の水泳には例年、700人規模の参加がある。県水泳連盟の山崎哲正理事長は「大会運営には大勢のスタッフが必要。新大会になることで大会日数や会場が増えることにでもなれば、大変なことになる。新大会になっても従来の大会方式を踏襲してほしいというのが本音」と打ち明ける。陸上も県体は1000人以上が参加する一大競技で、富山陸上競技協会の荒木正志理事長は「従来の県体でも相当規模の大会であるのに、3大会を1つにするとなると、運営面は大丈夫なのか」と話す。
 また、県生涯スポーツ協議会の扇一兵治事務局長はスポレク祭について「県大会は全国スポレク祭の選考会を兼ねており、開催については5月下旬から6月上旬という時期はずらしてほしくない」と注文する。
 県内大会のほとんどは北信越大会や全国大会につながる。また、学童年代は少年団のほか、地域総合型スポーツクラブ、各競技団体など、さまざまな形式で選手が登録している。
 県スポーツ少年団の北東俊夫副本部長は「全国大会に向けて新大会はどのような位置づけになるのか。各種団体の子どもたちはどの枠組みに入るのか。現時点で示されている構想だけでは仲間内での話のしようもない」と当惑。「決めるべき課題があまりにも多すぎる。1、2年での移行は難しいのではないか」と疑問を投げかけている。

 

戻る