社説 スポーツ振興 地域主導型に変われるか
                                                      平成19年3月5日(日)北日本新聞

 子どもから高齢者までの地域の幅広い住民が参加し、複数のスポーツ種目に取り組む「総合型地域スポーツクラブ」の設立が県内で進んでいる。先月、朝日町を最後に全15市町村で設立された。県全域での完了は全国では兵庫県に次いで2番目になる。同クラブがスポーツ振興に果たす役割に注目したい。

 少子高齢化や、車社会などによる慢性的な運動不足、コミュ二ティー意識の希薄化など現代社会はさまざまな問題を抱えている。それらを解決する手段の一つとして、総合型地域スポーツクラブの育成が位置付けられている。
 ただ、現在でも野球、サッカーなどのスポーツ少年団やママさんバレーなどの活動のほか、中学校の部活動も行われ、地域のスポーツ振興活動は盛んだ。なぜ今、総合型地域スポーツクラブが必要なのかという声があるのも事実だ。同クラブは、年代にとらわれず、誰もがやりたいスポーツを身近な地域で楽しみながら行うことができる「生涯スポーツ社会」の実現を掲げる。

 その推進役として県内では、平成11年に県広域スポーツセンターが設置され、クラブ設立のノウハウを指導した。特にクラブのキーマンとして企画・運営に当たる「クラブマネジャー」の養成に力を入れ、延べ63時間の講義を155人が修了している。
 クラブ設立後は自主財源で運営しなければならないのが基本だ。当初はtoto(サッカーくじ)の収益金の一部を分配する計画があったが、売れ行き不振などで取りやめになった。設立後も厳しい運営が強いられているため、県内では現在も市町村の支援を受けているクラブが相当数あるという。
 2000年とやま国体に向けた競技力向上など、これまで県内でのスポーツ振興は、行政主導で進められてきたといってもいい。今後は行政に頼らず、住民から会費を募って運営する「受益者負担」方式が受け入れられるのか。施設利用の際、会員向けのメリットを設定するなどの工夫が必要だろう。

 グラウンドゴルフやサッカー、ソフトバレーなど本格的な種目から太極拳、ウォーキングなど気軽に取り組めるものまで、各クラブの活動は幅広い。住民の体力レベルもさまざまだ。クラブの経営管理とともに、世代間交流、地域連帯感の醸成を進めるため、マネージャーの能力が試される。
 また、多くの活動種目があるために、指導者が不得意とする分野もある。そのことが活動の停滞を招かないように、指導者を有効に「活用」するネットワークづくりが当面の課題として浮上しているという。

 各クラブは、将来的には財源確保やNPO法人取得などによって自立することが求められている。県内での設立の動きは続いており、新年度内に53となる。お互いに情報提供を行い、運営のノウハウを共有したい。設立間もないクラブには、地域内でのPRに努め、認知度を高めてもらいたい。

 

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