あしたのかたち 58 スポーツ21世紀 改定スポーツ振興基本計画D
                                                      平成18年11月18日(土)毎日新聞

急務の専門職化

 改定されたスポーツ振興基本計画には、総合型地域スポーツクラブの全国展開について、日本体育協会の役割を重視する記述が加えられた。従来の文部科学省−都道府県教育委員会による官主導から、競技団体がより主体的にかかわる民間主導への転換だ。日体協は国体への取組みにも劣らない新たな役割を担い、いかに地方に 浸透させるかが求められる。

 日体協が重視するのがクラブマネジャーとクラブ育成アドバイザーだ。前者は実際に総合型クラブの事務局長を務めながら運営や事業展開をする人材。日体協の半年間にわたる講習を受けて、マネジメントの専門知識を身につける。後者は日体協が持つノウハウを地域に広げながら設立に向けた指導、助言を行う。
 アドバイザーは現在46都道府県に64人いる。職員OBから専門知識を持った30〜40代まで顔ぶれは、さまざま。自治体の推薦を受けて日体協が承認する。大半が広域スポーツセンター(SC)に所属している。広域SCは今年4月現在、41都道府県に設置され、計画では「少なくとも各都道府県で一つが必要」と掲げられている。総合型クラブの運営支援をする拠点で、アドバイザーはその要の役割を担う。
 ただ、日体協の根本光憲クラブ育成課長が「身分が不安定」と指摘するように専門職としてアドバイザーの地位は保証されていない。クラブ展開は文科省の委託事業で、人件費は月30万円を最高に謝礼金の形で支払われる。給与ではないため、社会保障は受けられない。「委嘱などの形で雇用して、謝礼金との併用で立場を保障している自治体もある。そういった自治体の方がクラブ展開がスムーズだ」と根本課長。自分が不安定では、種をまき、育てる作業はなかなか進まない。

 文科省は総合型クラブの全国展開の目標を2010年に設定。そのとき委託事業が終了すれば謝礼金も打ち切られる。そんな危うい立場に有為な人材は集まるのか。根本課長は「大学でスポーツマネジメントは学問として成立している。専門知識を持った人材は今後増えるはず」と話す。その受け皿整備のためにもアドバイザーの身分保障は急務となる。

 

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