スポーツの輪 ・・1
                                                     平成18年10月11日(水)読売新聞

 25種目3世代が汗  公共施設に「総合型クラブ」

 幼児から高齢者まで幅広い年代が集い、様々なスポーツを楽しむ「総合型地域スポーツクラブ」が、各地で人気を集めている。好きな種目に取り組めて、しかも家族や地域の結びつきを深めるきっかけにもなっている。その様子を紹介する。

 「あの人知ってるよ」富山県小矢部市の団体職員 坪谷泉さん(39)一家は、長男の誠君(10)声に、一斉に居間のテレビへ目をやった。地元の総合型地域スポーツクラブ「おやべスポーツクラブ」の男性ソフトボール指導員が町おこしの催事で活躍する姿が紹介されていた。二人とも、この指導員に世話になっている。「こんなこともやっているんだね」と泉さん。
 これをきっかけに、泉さんが夫の母、睦子さん(67)に「以前、親子ソフトボールに代わりに行ってもらい、ありがとうございました」と礼を言うと、睦子さんは「おかげで打席にも立たせてもらい、ヒットも打てた」と応じる。家族の笑いが続いた。
 一家は3世代同居の7人家族で、うち6人がおやべクラブに所属。泉さんが硬式テニスを始め、クラブの種目が増えたのを機に、夫や3人の子ども、睦子さんを誘った。6人が取り組んできた種目は卓球やホッケーなど様々だ。

 泉さんは「スポーツを通じて共通の会話が増えて、家族内で会話が絶えない。違う世代の知人も増え、外出するの楽しみになった」と話す。
 総合型クラブは、地域住民が主体的に運営し、様々なスポーツを幅広い世代や運動レベルの人が楽しめるようにしたクラブだ。公共施設を有効利用し、低料金なのも特徴。
長く地域スポーツを担ってきたスポーツ少年団やママさんバレーなどは、参加できる年代が限られ、しかも単一種目が多かった。勝利至上主義となり、実力がなければ楽しめない面も指摘されていたという。日本体育協会クラブ育成課の根本光憲課長は「総合型クラブであれば、生涯にわたってスポーツを楽しみやすい」と話す。
 文部科学省が10年余り前から普及を呼びかけ、2010年までに各市町村に最低一つの育成を目指している。準備中も含め、2416になった(06年7月1日現在)。
 家族での参加もしやすい。おやべクラブは25ほどの種目が楽しめ、会員は市内外の幼児から80代後半までの男女約1780人に及ぶ。約4割が家族で参加し、6人家族が2組、5人家族が7組と大人数のケースも。クラブマネジャーの沼田秀樹さんは「受験で部活動を離れた中学3年生がクラブで競技を 続けたりするケースもある」と話す。
 積極的に家族の交流の場を提供する所も。茨城県日立市の「滑川ファミリースポーツクラブ」は、毎年10月に開かれる催事で、3世代で楽しめる競技をそろえたコーナーを設けている。
 福島大の黒須充教授(スポーツ社会学)は「スポーツは人生の伴奏者。総合型であれば、年上の人の姿を見て、自分の将来のスポーツ人生を描きやすい。続ける意欲もわきやすいのでは」と話す。

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