スポーツの輪 ・・4
                                                     平成18年10月14日(土)読売新聞

文化系人間も集合 絵や囲碁…地域の居場所に

 総合型地域スポーツクラブの中には、スポーツ以外の活動の場を地域住民に提供するケースも多い。
 立教大の松尾哲也教授(スポーツ社会学)は「総合型の考え方の一つは、会員同士が時間と空間を共有し、生活の室を高められる居場所作り。単なるスポーツクラブにとどまらず、『地域クラブ』の役割を担っている。間口を広げ、スポーツ以外の活動を加えれば、運動の苦手な人も入りやすく、スポーツに触れるきっかけになる」と話す。

 中でも目に付くのは、文化活動に取り組むケースだ。東京都調布市内の閉校となった小学校などを拠点とする「調和SHC倶楽部」は、20種類以上のスポーツのほか、絵画やフラワーアレンジメント、囲碁、絵手紙など9種類の活動も行っている。周辺ではマンション建設が進み、若い世代が増える一方、約40年前にできた住宅団地では住民の高齢化が進み、スポーツに抵抗感を持つ住民もいるため、様々な選択肢を用意した。
 会員の鍋島由起子さん(45)はスポーツと文化の“掛け持ち派”。3年前からゴスペルの講師を務めてきたが、長女がソフトボールを始めたのを機に、今年2月から「歌うには体が資本」と、自らも参加し始めた。「知り合いが増え、より家族的な雰囲気を感じるようになった。時間があれば、ほかの活動にも参加したい」と話す。

 地域クラブの特性を生かして、来年から大量の定年退職が始まる「団塊の世代」の活動の場としての役割を果たそうとする動きもでてきた。
 埼玉県熊谷市では、地域の50代後半から70代の男性が中心になり、来年4月のスタートに向けて、「ピースふぁいるクラブ」が設立準備中。今年8月には、荒川近くの林にツリーハウスを設置したうえ、約20人の小中学生とその保護者を集めて1日キャンプを実施。竹製のいかだ遊びや水鉄砲を子どもに教えた。
 設立準備委員会代表の中村明弘さんは「おやじの会のような役割も果たせるといい。地域の歴史などを子どもたちに継承することにも力を入れたい」と説明する。

 総合型クラブは自主運営が基本のため、利用者としてだけでなく、運営の側に回るなど多様なかかわり方が可能となる。それがスポーツ嫌いの人に、活躍の機会を与えることにもつながるようだ。
 兵庫県福崎町の「スポーツネットワークUS」副会長の水谷正美さん(56)もそんな一人。運動は大の苦手というが、頼まれてクラブ運営にかかわった。知的障害者支援施設の園長ということもあって、障害者向けの風船バレーボールの導入を提案した。「これまでスポーツ団体と全くかかわりがなかったが、違う視点で参加するのも面白い」と話している。

 

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