スポーツの輪 ・・5
                                                     平成18年10月15日(日)読売新聞

 寄付でクラブ参加  生活に充実感、地域作りの核に

 総合型地域スポーツクラブが各地に広がる中、福島県内でクラブの育成支援をする「うつくしま広域スポーツセンター」は今年3月、その社会的効果を調べた。
 県内10か所の総合型クラブの会員と、非会員の地域住民を対象に、ここ1、2年の生活の充実感などについての意識調査を行った(回答は会員739人、非会員1038人)。
 「生活の充実感に変化はあったか」の問いに、「充実感が増した」と答えた会員の割合は42.5%で、非会員の21.7%の約2倍。また、「住む地域への印象に変化はあったか」の質問に、「印象が良くなった」と答えた会員も24.2%で非会員の2倍以上となった。総合型に参加することが、スポーツだけではなく、生活や地域への意識にも影響を与えていることをうかがわせた。

 ただし、課題も残る。財源の問題もその一つだ。
 総合型の財源は一般的に、@会員からの会費と利用料A支援者(サポーター)からの寄付B公共施設の管理など国や自治体から引き受けた業務の委託料−の三本柱。だが、現実には、財源の多くを自治体からの補助金に頼っているケースがまだ多い。
 自立したクラブとなるには、三つの財源からバランスよく収入を確保して、安定的な運営ができるようにすることが必要だ。福島大学の黒須充教授(スポーツ社会学)は「クラブが地域社会に対して果たす役割について、利用者だけでなく、地域住民や自治体からも評価や信頼感を得る必要がある」と指摘する。

 その点で、積極的な取り組みをしているのが、岐阜県神戸町内の「ごうどスポーツクラブ」だ。2004年度にサポーター制度を導入し、寄付金を出している支援者を半年に一度、スタッフがお礼も兼ねて訪問、半年間の具体的な事業内容や収支などを報告している。
 この結果、クラブの公共性や公益性への理解が深まり、制度を導入した04年度には40社、40万円だった寄付金は、今年度は107社、165万円に増えた。会長の小倉弐郎さんは「寄付金はもらいっぱなしでは、出し続けてもらえない。報告することで、クラブ側の緊張も高まる」と話す。
 町内の石材会社は今年4月にサポーターになり、年間1万円の寄付をした。社長の宮田重之さん(59)は「妻と二人で会員として3年間、クラブを利用しており、恩返しの意味もあった。報告してもらい、会社としても地域に貢献できたことを実感できる」と話す。

 様々な形で総合型クラブにかかわることで、地域住民に「この街に住んでよかった」という意識が広く芽生えれば、スポーツクラブと言うだけでなく、地域作りの核となる可能性も秘めている。 (西内高志)


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