県体育協会設立80周年 スポーツ県実現へトップ選手を育成
                                                    平成20年11月22日(土)北日本新聞

 県体育協会設立80周年を記念し、同協会長の石井知事と北京五輪で日本選手団団長を務めた福田富昭日本オリンピック委員会(JOC)常務理事が富山市のANAクラウンプラザホテル富山で対談し、トップアスリート育成を重点に県内スポーツ振興に取り組む考えで一致した。知事から県スポーツアドバイザー就任を要請された福田氏は快諾。五輪など世界の舞台で活躍できる選手が育つ「スポーツ県・富山」実現へ夢が広がる。司会は土井均北日本新聞社専務編集局長。

 県スポーツ界はこれまで多くの名選手を生み出してきた。中でも体操の三栗崇(富山市出身)は昭和35年のローマ五輪、39年の東京五輪で2大会連続の団体金メダル獲得に貢献した。
 堀内岩雄(滑川市出身)は東京五輪のレスリング・フリースタイルライト級で銅メダルを獲得した。
 プロサッカーでは柳沢敦(射水市出身)の活躍が光る。14年の日韓、18年のドイツワールドカップに日本代表FWとして2大会連続出場を果たした。12年のシドニー五輪にも出場し、1得点を挙げた。
 プロ野球では元横浜、オリックスの進藤達哉(高岡市出身)が内野手、元ダイエー、ヤクルト、金鉄、巨人の田畑一也(同)が投手として活躍。平成に入ってからチームの中心選手として頭角を現した。ともに日本シリーズ制覇の経験がる。
 大相撲の琴ケ梅(富山市出身)は昭和60年代、強烈な押し相撲で存在感を示し、関脇に昇進した。

競技力向上
−県内スポーツの現状をどうみているか。
 石井 北京五輪に県在住、出身選手が7人出場し、このうち4人が入賞した。全国の人口に占める県人口の比率1パーセント弱に対し、日本選手権339人、入賞者77人の中で占める県在住、出身選手の比率は高く、非常に優秀な成績だったと思う。「2000年とやま国体」で男女総合優勝した蓄積が生きている。平成22年には全国スポーツ・レクリエーション祭(スポ・レク祭)が県内で開催されることもあって、3年前から競技力の向上と併せ生涯スポーツ活性化にも努めている。今回の五輪で県選手活躍を足掛かりに、さらなる競技力向上のためのあり方を検討したい。
 福田 生涯スポーツ、クラブ活動、競技スポーツはそれぞれ目的が異なる。底辺から積み上げると、莫大な時間とお金がかかる。まずは競技スポーツに力を入れるべきだ。富山県でも日本一、世界一を目指せる選手育てれば、多くの子どもたちが刺激を受け、スポーツをするようになる。(トップアスリートという)火山が噴き出してすそ野が広がる「活火山方式」と名付けている。

−今の意見をどう受け止めるか。
 石井 貴重なご意見をいただいた。これまで生涯スポーツの振興によりすそ野を広げることと、子どもたちや県民に夢や元気を与えられる選手育成の両面で取り組んできた。56の総合型地域スポーツクラブが全市町村に組織され、普及率は全国トップクラブだ。競技力向上については必要な見直しを行い、さらに充実していきたい。福田さんのような優れた人材を生かさない手はない。ぜひ県のスポーツアドバイザーになってほしい。
 福田 これほどスポーツに詳しく、理解のある知事はなかなかいない。富山のスポーツレベル向上に向け具体的な強化策を提案し実績を上げることで、富山県に恩返ししたい。


富山の将来性
−世界のスポーツの現状を熟知している立場から国内の議題を聞きたい。
 福田 日本は全体として競技力向上の取り組みが遅れいる。北京五輪までの年間強化費は、中国の200億円、米国の165億円、英国の110億円に対し、日本は27億円。アテネ五輪の直後、小泉純一郎首総(当時)に直訴し、ナショナルトレーニングセンター整備が実現したが、諸外国よりも50年遅れた。
 

−富山の将来性をどう考えているか。
 福田 富山は県総合運動公園(富山市南中田)など施設が充実している。あとは選手育成のシステムをさらにしっかりと整えれば、メダリストを育成できる全国に名だたるスポーツ県になる。スポーツが盛んになれば体も心も健康になる。自然に礼儀が身に付き、道徳教育の上からも大きな効果を発揮する。

−すそ野拡大とレベルアップに向けた方策は。
 知事 全国スポレク祭に向け、一昨年から普及振興事業を行うなど、生涯スポーツ団体への支援を強化した。例えばフランスから優れたペタンク指導者を招き講習会を開くなどレベルアップを図ってい る。子どもたちの体力低下の傾向もあり、今年から児童を対象にした「元気とやまウオークラリー」も実施している。3年前から小学5年生を対象に運動能力が優れた子どもを見いだし育成する「未来のアスリート発掘事業」や、中高生向けの「元気とやまスポーツ道場」をスタートさせ、全国大会などで活躍する有望選手が育ってきた。競技力向上については、総花的でなく何に重点を置くか戦略を定める必要性があるのではないか。
 福田 スポーツ強化対策会議といった組織をつくればいい。各競技団体の理事長や事務局長、強化担当者らを集め、強化策について自分が話をしたい。徹底して指示することが必要だ。また、知事が意気込みを見せれば、各団体が活性化する。現場の指導者が本気にあるかどうかにかかっている。


未来への飛躍
  夢・感動与えるプロ 石井
  アマと交流活発に 福田
−県内で日本フットボールリーグ(JFL)のカターレ富山、プロ野球BCリーグの富山サンダーバーズ、男子プロバスケットボール・bjリーグの富山グラウジーズとプロ3チームがそろった。これたのチームとちいきはどうかかわり合うべきか。
 福田 プロとアマとの間に垣根があると競技と、プロ・アマの交流が可能な競技があるが、両者交流をできるだけ活発にすることが望ましい。ジュニア選手がプロ選手と一緒に練習や合宿をすれば、優れた技術やチームプレーなどを学ぶことができる。
 石井 大都市を除けばプロ3チームがそろった県は富山だけ。サンダーバーズはリーグ優勝を果たし、カターレ富山はJリーグ2部への昇格が有望だ。子どもたちに夢や感動を与え、スポーツ愛好者のすそ野を拡大する役割を果たすことができる。県はホームゲーム会場へのシャトルバス運行費を補助するなど、県民が観戦しやすい環境作りに努めてきた。富山県に子ども連れの家族や若い二人連れが「スポーツを見て楽しむ」部下ができつつある。スポーツ人口の拡大や県民の心身の元気につながるもので、うれしく思う。

−県内スポーツのレベルアップにどうつなげていけばいいのか。
 福田 世界中でスポーツの低年齢化が進んでいる。幼いころは幼児向けの指導をするのではなく、最初から一流の技術を教えた方が将来伸びる。指導方法を間違えないよう指導者への教育も必要だ。

−今後のスポーツ振興への抱負を聞かせてほしい。
 石井 富山県は生涯スポーツが盛んだ。「元気とやま」実現には経済の発展による元気と、心や体の元気の両方が大切で、スポーツや文化が大きな役割を果たすと思う。今後も競技力の向上をはじめスポーツ振興に積極的に取り組んでいきたい。


協会の活動
 
スポーツクラブ普及 児童・生徒強化策を拡大

 2000年とやま国体終了後、不況の影響で長年県スポーツ界を支えてきた企業チームが相次いで撤退したことを受け、県体育協会は新たなスポーツ普及と強化の基盤づくりに取り組んできた。
 普及の柱となっているのが総合型地域スポーツクラブだ。現在、県内に56クラブがあり、約3万8千人が加入している。平成の大合併前の旧35市町村すべてに組織され、全国トップクラスの普及率を誇る。
 協会については児童を対象にした「未来のアスリート発掘事業」と中高生対象の「元気とやまスポーツ道場」を実施。運動能力の高い児童を見出し基礎的な体力や知識を養い、中高生の段階で競技別に強化練習を行う。
 発掘事業は平成17年度から始め、一期生は現在中学2年生。陸上や水泳、ハンドボールなど県内外の大会で活躍し、実績を上げている。スポーツ道場は、競技別に県内の優れた指導者による年間約30回の練習や、全国から指導者を招いた講習会が中心。初年度の18年度は14競技でスタートしたが、本年度は20競技に拡大している。
 中沖克美専務理事は「スポーツ立県を実現するには富山で育った選手が引退後に指導者や役員となり富山と競技に恩返ししていくことが必要。今日かと普及を両輪にスポーツ振興に取り組んでいきたい」と話している。

80年の歩み
 昭和33年・平成12年に国体
 県体育協会は昭和3年に誕生日した。同33年と平成12年の地元国体開催など通じ、県内スポーツクラブのレベルアップに取り組んできた。
 200年国体では誘致を積極的に進めたほか、富山での開催内定を受け、昭和63年に強化プラン策定やスポーツ医科学の推進、企業スポーツ振興などに重点的に取り組む方針を決定。10年以上にわたって各競技団体と連携し強化に努めた結果、初の天皇杯、皇后杯獲得につなげた。県民も会場での応援だけでなく、ボランティアや民泊受け入れなどさまざまな形で協力し、県民全体で支える国体を実現した。
 県は平成22年、全国スポーツ・レクリエーション祭を県内で開催する。6年の全国高校総体、12年の国体、17年の日本スポーツマスターズに続き、全国規模のスポーツ大会開催が実現する。

 

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