11年度スポーツ関連予算案 トップ育成費 手厚く
                                                     平成22年12月25日(土)読売新聞

 政府が24日に決定した2011年度予算案で、文部科学省のスポーツ関連は、過去最高の228億円に上り、トップアスリートの育成・強化のための予算が手厚くも盛り込まれた。一方、事業仕訳けで「大幅な予算の削減」と指摘されていた国体開催事業(地方スポーツ振興費補助)は前年度から、さらに減額される結果となった。

国体事業は減額
 スポーツ予算は、前年度から1億円増の228億円。「国際競技力の向上」に156億円、「地域スポーツ進行」に20億円、「学校体育の充実など」に52億円が盛り込まれた。
 全体の7割近くを占める国際競技力の向上では、スポーツ医・科学、栄養学を活用し、最先端の競技用具の研究開発などを行う「マルチサポートを通じたトップアスリートの行くしえ・強化」に22億円が計上された。
 前年度の「チーム日本・マルチ・サポート事業」から形を変え、「元気な日本復活特別枠」に新規で27億円を要望したもので、メダル獲得が有望な「ターゲット競技」を重点強化するのが狙い。同じような内容だった「マルチ・サポート事業」が18.8億円だったことを考えれば、実質的には増額になったといえる。また、日本オリンピック委員会(JOC)への補助金は、前年度と同額の26億円がついた。
 一方、行政刷新会議から、今年11月にも即時改善の「勧告」を受けていた国体開催事業は、事業仕分けでの「大幅な削減」の指摘を反映させる形で、前年度から1800万円減の3.8億円になった。

 地域スポーツの振興では、総合型地域スポーツクラブの中に拠点クラブを作ってトップアスリートを配し、学校の体育などにも派遣する新規の「スポーツコミュニティの形成促進」が特別枠での27億円の要望に対し、6億円。日本体育協会への補助金は、前年度と同額の5億円だった。

市原則之・JOC専務理事
「財政状況が厳しい中で、補助がマイナスにならなかったのはありがたい。マルチサポート事業とも連携し、国の意図するところをよく考え、強化を進めたい」

岡崎助一・日本体育協会専務理事
「(体協への補助金を)今年度と同額確保できたのは(国に)感謝申し上げたい。国体の開催県への補助金が減らされたのは、主催者の一員として残念」

 

将来見据えた強化案を
 文部科学省が「スポーツ立国戦略元年」と位置づける来年度のスポーツ関係予算は、ロンドン五輪への最後の強化の年として、トップアスリート強化の姿勢が鮮明に打ち出された。
 夏季競技で13種目を「ターゲット競技」として重点的に支援している文科省は来年度、国際大会で活躍が目覚ましい女性アスリートのトレーニング方法を研究し始める方針だ。国立スポーツ科学センターには、風の抵抗を研究する装置や高気圧酸素治療措置を新設する。いずれも、国が責任を持ってトップアスリートを強化するという意思表示だ。

 経済状況は依然として厳しく、企業スポーツにも頼れなくなってくる中で、競技団体は今、国の支援を得られるかを気にしている。
 11月の広州・アジア大会から帰国した日本陸連幹部が、記者会見で「マルチサポートの種目を何としても守らなければならない」と話した。ターゲット競技の女子マラソンは5位が最高で、男子400メートルリレーは決勝に残れなかった結果を受けての発言だった。
 見直しが行われるターゲット競技に入るために、競技団体は、選手を強化する明確なプランの提示を求められるだろう。それを精査する文科省には、目先の成績だけに縛られない、スポーツ界全体の中・長期的な強化・育成プランもつくってほしい。

 

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