基本法成立 変わるスポーツ界 上
                                                     平成23年6月29日(水)読売新聞

縦割り解消 ノウハウ結集

「庁」設置 協議本格化
 スポーツ基本法の付則に、行政改革の方針に配慮し、スポーツ庁との設置を検討することが明記された。「重要な課題として真剣に検討しなければならない」。高木義明・文部科学大臣は5月25日の衆院文部科学委員会でそう答弁した。文科省幹部は「法律に書かれるというのは答申より重い」と話す。設置に向けた協議がこれから本格化する。

 障害者スポーツは厚生労働省 、施設整備は国土交通省、スポーツビジネスは経済産業省―。スポーツ施策は各省庁にまたがり、省庁別に検討されてきた。それを一本化し、総合的に施策を立案できるスポーツ庁の設置を、日本オリンピック委員会(JOC)は求めている。文科省の今年度のスポーツ予算は228億円。一方、例えば文化庁の文化予算は1031億円で、庁の設置は予算拡充にもつながると期待する。

 法案をまとめた超党派のスポーツ議員連盟でも、民主、自民両党の議員を中心に、庁の設置を求める声が強い。日本スケート連盟会長の橋本聖子・同議連副会長(自民)は「スポーツは医療費の削減など、社会的にも大きな力を発揮できる。各省庁のスポーツノウハウを結集すれば、大きな効果を生む」と話す。「庁を設置する」と規定した方が良いという意見もあったが、 行革の時代に新たな組織を作るべきではないとの反対の声もあり、条文ではなく、付則に設置を「検討」すると盛り込んだ。

 自民党スポーツ立国調査会長の遠藤利明議員は、文科副大臣だっや当時、有識者の懇談会を作り、2007年8月に新法制定とスポーツ省(庁)設置を提言した。遠藤議員は「トリノ五輪で金1個と惨敗し、国が責任を持って強化する体制を作り、日本人の『スポーツは遊びの延長』という意識を変えなければいけないと思った」と振り返る。基本法制定の底には、この考え方が流れている。

 文科省の「スポーツ・青少年局」から「スポーツ」を切り離し、庁の屋台骨とする構想が、同議連にはある。ナショナルトレーニングセンター(NTC)のモデルともした豪州の仕組みを参考に、庁設置を機に 政策立案のグループを設立し、スポーツ団体の統合・再編にも取り組みたいとの意見も出ている。法案を可決した今月16日の参院文教科学委員会で、奥村展三・同議連幹事長(民主)は、スポーツ庁長官を「民間から登用したい」と話した。

 庁が誕生すれば、諸外国と同様にオリンピックとパラリンピックを統括する考えだ。日本パラリンピック委員会の中森邦男事務局長は、基本法制定を「障害者への支援が進み、一般の競技団体が持つノウハウの活用が容易になる」と歓迎する。ただ、スポーツは国際貢献や高齢者の健康保持など多くの課題と絡むことから、庁は文科省ではなく内閣府に置き、各省庁から集まった担当者が政策を協議する方法を提案している。

◇1961年に制定されたスポーツ振興法を50年ぶりに全面改正したスポーツ基本法が今月17日、国会で成立した。新法の制定でスポーツ界はどう変わるのか。

 

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