社説 体育の日
                                                      平成24年10月8日(月)読売新聞

運動習慣身につけ体力向上を
 きょうは「体育の日」だ。家族で外に出て、体を動かす一日にしてみてはどうだろう。
 文部科学省が2011年度の体力・運動能力調査結果を公表した。東京五輪が開かれた1964年から毎年実施されている調査である。


  小中学生や高校生で、長年低下していた「走る」「投げる」「跳ぶ」といった基礎的な運動能力に、回復傾向が確認されたという。それでも、ピークだった85年頃と比べると、低い水準であることに変わりはない。
 11歳のボール投げで、85年度の平均値を上回ったのは、男子で34%、女子で27%にとどまっている。記録が伸びない子ほど、普段から運動する頻度が低い。
  背景には、携帯電話やゲームの普及で外遊びが減るなど、子供たちを取り巻く生活環境の変化があるのだろう。
  幼い頃から運動習慣を身につけておくことが大切だ。
 始業前に、縄跳びや鬼ごっこなど、遊びの時間を設けている学校もある。体育に苦手意識を持つ子も、楽しみながら汗を流せる機会をできるだけ多く作りたい。

 今回、年齢別のスポーツ実施率を分析したところ、男女とも20歳代後半から低下傾向が始まり、30歳代で最も低くなっていた。
 若い親の世代のスポーツ離れが、その子供たちにも影響を及ぼしているのではないか。
 親子で気軽に参加できるスポーツ環境の整備が求められる。地域住民が自主的・主体的に運営する会員制の「総合型地域スポーツクラブ」は、全国で3000を越えている。こうした場を利用するのも一つの方法だ。

 子どもたちの体力低下が深刻なのは、東日本大震災の被災地だ。
  宮城県や岩手県の沿岸部では、今も校庭に仮設校舎や仮設住宅が建てられている学校が多く、運動する場が不足している。
  福島県では、東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染への不安が根強く残り、親が幼い子の外遊びを控えさせる傾向が続いているという。
 子供たちは被災地の将来の大切な担い手だ。
 継続的な体力調査が必要だろう。学校以外の場所に屋内運動施設を設置するなど、体を動かせる場所の確保が急務である。

 

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